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はんげんき
はんげんき、と残っている。
たぶん、半減期の字を充てて、重たい元素の不安定な原子核がα波β波γ波を放出し別の安定した原子核へと自発的に変化する放射崩壊の半分の時間を指す用語であろう。
もともとそうした方面の知識があるわけでないのにすぐに御浚いしたのは、はんげんきと入力して出てきた半減期から解説の、「別の安定した原子核へと自発的な変化」のフレーズがしっくり気に入ってのことだ。
はんげんきの半減は、半分のことだ。
半分などというのは、もう半分とか、まだ半分とか、あきらめの悪いひとが見境いなく寄り添い膝をくっつけねだるときの言いようだ。
甘ったるい感じで、仲良くしている男女が、いまよりももっと仲良くしたいときならいざしらず、こんな目の見えない処にまで半分のフレーズを押し込めたりするいい加減さに、とぼけた年寄りたちの混濁した白目の多い眼球が見えてくる。
だくだくだくと、半透明した眼球の・・・・汚れてクリアでなくなったものにいつまでも未練たらしく、まだ半分、もう半分をつけておねだりするジジぃの臭いが立ってくる。
きっと、そんな手前勝手に妥協したくない若手サイエンティストの矜持が奮って書いた一節だと、窺えた。




