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レベルの上がらない無能と言われ家を追い出された俺だけど、ギフト【ドレイン】の力でいずれ最強になります!  作者: にがりの少なかった豆腐
無才に厳しい世界

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ファーラット

 

 支給されることになっていたシャベルをロッソさんから受け取って、その足でギルドのある村から南に延びる街道へ向かった。


 この街道は整備された道とは違い、村と村をつなぐ昔からある道らしい。今では多くの道は車が通りやすいように整備されているが、まだこういった道は多く残っている。


「話を聞いた限り、そこまで離れた場所ではないらしいけど」


 村から出て30分ほど歩いたが未だにファーラットの巣と思われるものは見えてきていない。

 

「ロッソさんの歩く速さと俺の歩く速さは違うから、もう少し行ったところって感じなのかな」


 採掘者の中でも特別足の速くないロッソさんだとしても、まだ子供の俺に比べれば歩く速度は早いだろう。


 そこから5分ほど歩いたところで不自然に枝や草が積み重なっている物が見えた。おそらくあれがロッソさんの言っていたファーラットの巣がある場所なのだろう。


「あれか」


 ファーラットの巣と思われる物に近づく前に、近くの物陰からそれをしばらく観察することにした。


 一応ファーラットは自分たちが作った巣を枝などで隠す習性があると知っているので、十中八九間違いないと思うが違う可能性もある。安易にそうだと決めつけて何も考えず壊したら別のモンスターの巣でした、となってからでは遅い。

 ファーラットの巣だから俺でもどうにかできるのであって、他のモンスターだった場合、どうなるかはわからないのだ。


 様子を窺い始めてから5分ほど経ったところで、別のところから現れた全長20センチほどのファーラットがその中に入っていくのを確認した。サイズ的に成熟したファーラットだろう。


「うん。これで間違いはないな」


 1体でもその中に入っていくのが確認できたのなら、あれが巣であると断定していいだろう。


「早速始めるか」


 物陰から出てすぐにファーラットの巣の近くに看板を設置する。

 これは街道の近くで作業する以上、討伐の許可を得ていることや巣の破壊作業をしていることを知らせるためのものだ。

 

 この看板が無くても何をしているのか聞かれた際に説明すればいいだけのことではあるが、いちいち説明するのも手間だろうとこういった依頼を受けた際にギルド側が貸し出している物だ。


 看板を立てた後は、ファーラットの巣の破壊に移る。


 下にある穴を確認するために積み重なった草や枝をどかしていく。

 結構な量が積み重なっているため、これをどかすだけでも結構な時間がかかる。


「ビャア!」


 巣が壊されていることに気づいたファーラットが巣の中から3匹出てくると俺に向かって威嚇の声を上げて来た。


「っと、出てくるのが早いな」


 壊し始めてすぐにファーラットが気づくとは思っていなかったので少し驚く。しかしファーラットはすぐに攻撃してくることはなく、威嚇するにとどまっている。


 ファーラットが俺でもどうにかできるというのはこういうところにある。ファーラットはモンスターであるが外敵に対して積極的に攻撃をしてこない。さらに食性も草食に近い雑食で人間は子供であっても攻撃対象ではないのも大きい。

 こちらが攻撃して来れば反撃してくるが、それも自衛目的なので危険度で言えばそこまで高くはない。とはいえ、ピゴニャータよりは危険度は上なのだが。


「出てきたところ申し訳ない、けどっ」


 威嚇しているだけの相手に攻撃するのは心苦しいが、見つけてしまった以上、倒さないわけにもいかない。

 腰に携えていた武器として使っている木の棒を構え、それをファーラットに向けて振り下ろす。


「ピャガッ!?」

「うっ」


 振るわれた木の棒を受けた1匹目のファーラットが悲鳴を上げて動かなくなる。

 木の棒から伝わって来た感触に嫌な気分になりながら、他の2匹も同じように倒す。


「うーん」


 ピゴニャータは向かってくるし脆い虫だったから倒した時はそこまで嫌な感じはしなかったが、さすがにファーラットは襲ってはこないしネズミ型のモンスターだけあって倒すのに抵抗がある。


「これからちゃんとした採掘者になるのであれば、こういうことには慣れないといけないよな」


 ダンジョンに生息しているモンスターは総じて襲い掛かって来るが、地上にいるようなモンスターはそうとも限らない。そして採掘者は必ずしもダンジョンの中でしかモンスターを倒しているわけでもない。


 今回のファーラットのようにたまたま人里の近くに巣を作ってしまっただけで、本来は山の中に巣をつくるようなモンスターであって見かけたからとすぐに討伐対象になる存在ではない。

 

 今回の依頼の目的はファーラットの巣を完全に破壊することだ。ファーラットの討伐はついでの内容であり、ロッソさんが少しでも俺に依頼料を出すために追加したものだ。

 倒せばその分お金は手に入るが、この巣に住んでいるファーラットを全て倒さなくても依頼は達成できる。


 ただ、一度人里近くに降りて来たモンスターというのは巣が壊されたとしてもまた近くに巣をつくる傾向がある。

 そのため、見つけたファーラットを見逃してしまうと、結局別の場所で巣を新しくつくられるだけでしかないので、俺の目の前に現れた倒せるファーラットは倒すことが望ましい。


「割り切りは必要だ」


 そう自分に言い聞かせるように口に出して、完全に動かなくなったファーラットの討伐部位である尻尾を切り取る。


 ガサガサと巣を隠すために積み上げられた物をどかしていく。

 最初の3匹が出て来た以降、他のファーラットが出てくる様子はなく、そのまま巣の上に積み重なっていた物を全てどかし終わり、そこから地面の中に続く直径10センチ程度の穴が現れた。


「この下を掘ればいいんだよな」


 ファーラットの巣は深くても1メートル程度。横の広さがどの程度あるかに寄るが、数日以内には完全に巣を破壊できるだろう。


「さてと、やるか」


 ロッソさんに借りたシャベルを手に取り、さっそくそれを使ってザクザクと地面を掘り始めた。

 

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