第13話 Cランク昇格試験、迷宮深部
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Cランク昇格試験は、王都近郊にある中規模ダンジョン「霧隠れの迷宮」の中層攻略という形で行われることになった。試験官として同行するのは、ベテランAランク冒険者のグロウ・バーンズ。屈強な体格の、歴戦の戦士だった。
「今回の試験は、単独での中層ボス討伐だ。中層には『石鎧の番人』という魔物がいる。過去にはBランクパーティーが全滅しかけた実績もある強敵だ。……とはいえ、お前の噂は聞いている。まあ、心配はしていないがな」
グロウはニヤリと笑った。
「では、始めろ」
レインは迷宮の入り口をくぐった。霧が立ち込める通路を、慎重に、しかし迷いなく進んでいく。
(石鎧の番人、か。前世の記憶にある……確か、古代の魔法文明が生み出したゴーレム兵器の成れの果て、といったところだったな)
中層に差し掛かる頃、通路の奥から、重々しい金属音が響いてきた。
現れたのは、全身を分厚い石の鎧で覆われた、身の丈四メートル近い巨大なゴーレムだった。両腕には、まるで攻城兵器のような巨大な戦槌が備わっている。
「ゴウンッ……!」
低い機械音のような咆哮と共に、石鎧の番人はレインめがけて戦槌を振り下ろした。
轟音。地面が大きく陥没し、砂煙が舞い上がる。
だが、その一撃は空を切っていた。レインは既に側方へと跳び、番人の側面に回り込んでいた。
(装甲は厚いが、関節部分に隙がある。前世の攻城戦で、似たようなゴーレム兵を幾度も相手にしたことがある)
レインは番人の膝関節、装甲の継ぎ目に狙いを定め、剣を突き入れた。
「ゴウ……ッ!?」
甲高い金属音と共に、番人の右脚が大きく崩れ落ちる。体勢を崩した番人は、それでも執念深く残った左腕の戦槌を振るってきた。
レインはその一撃を今度は正面から受け止めた——いや、受け止めるフリをして、力を巧みに横に受け流し、番人自身の勢いを利用して、体勢を大きく崩させる。
そして、がら空きになった胴体の中心——核が埋め込まれているであろう箇所に向けて、レインは全力の一撃を叩き込んだ。
ズシャッ、という重い音と共に、石鎧の番人の胸部が砕け散った。中から、淡い光を放つ核のようなものが露わになる。
「これで、終わりだ」
レインが核を貫くと、番人の巨体はゆっくりと崩れ落ち、砂の像のように風化していった。
⸻
「……いやはや。想定していた戦闘時間の、十分の一以下だな」
戦闘の一部始終を離れた場所から見守っていたグロウが、呆れたように呟いた。
「装甲の弱点、よく分かったな。あれは並みのCランクどころか、Bランクの熟練者でも見誤ることが多いんだが」
「たまたま、以前読んだ本に書いてあった知識が役に立って……」
「またそれか。お前のその『たまたま』、聞くたびに信じられなくなってくるよ」
グロウは苦笑しながら首を振った。
「合格だ。それどころか、正直Cランクでも収まりが悪い。だが規定上、一段階ずつの昇格が原則だ。今回はCランクとして登録するが……お前の場合、次のBランク試験も、そう遠くないうちに受けることになるだろうな」
こうしてレインは、正式にCランク冒険者として認められることとなった。
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