第9話 因縁の再会
よろしくお願いします
入学式当日、新入生が居並ぶ大講堂で、レインはふと視線を感じて振り向いた。そこには、以前村での模擬戦で敗北した、あのドミトリ・ヴァンクレイフの姿があった。
「……お前、まさかこの学園に来るとはな」
ドミトリは苦々しい表情でレインを睨みつけていた。あの一件以来、屈辱を晴らすべく猛特訓を重ねてきたのだろう、以前よりも幾分か引き締まった体つきをしている。
「お久しぶりです、ドミトリさん」
「ふん……。この学園には、王国中の優秀な人材が集う。田舎者のお前が、ここでどこまで通用するか見ものだな」
ドミトリはそう言い捨てると、取り巻きらしき数人の貴族子弟を引き連れて去っていった。
(相変わらずだなぁ……)
レインは苦笑いを浮かべるしかなかった。
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学園生活は、レインにとって新鮮な日々の連続だった。
「レイン君、隣の席いい? あたし、フィオナ・ラングレンっていうの。平民出身だけど、よろしくね!」
明るい笑顔で話しかけてきたのは、赤毛の快活な少女、フィオナだった。魔法薬学に長けており、入学試験でも上位の成績を収めた実力者だ。
「よろしく。レイン・フォル・アルダーシュです」
「アルダーシュ……あ! もしかして、トルム村の疫病を治した人!? すごい、会えて光栄だよ!」
フィオナの屈託のない態度に、レインは久しぶりに肩の力が抜けるのを感じた。貴族としての体面や、規格外の実力への畏怖といった重苦しい空気とは無縁の、純粋な好意。それは、レインにとって心地よいものだった。
こうして、フィオナをはじめとする気の合う友人たちに囲まれ、レインの学園生活は、おおむね平穏——にはならなかった。
というのも、実技の授業のたびに、レインの実力が規格外すぎて、教師陣までもが困惑する事態が頻発したからである。
「レイン君、また魔法陣を三段階も上位互換のものに改良して使っているのか……。もう普通に採点していいものか分からんな」
魔法工学の教師が頭を抱える一方、生徒たちの間では「アルダーシュの怪物、学園にも来る」という噂が、瞬く間に広まっていった。
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