武装
「クソヤロー。絶対に倒す!」
あのクソ親父は、家を出る事が多いと思ってたら、若い女の子にちょっかい出してたのか。まあ、百歩譲って浮気は多めに見るとしても、その相手がエルという時点で許せない。僕は親父を睨みつける。
「このハナタレが。格の違いを見せつけてやる!」
親父が構えて槍の先を僕に向ける。
「ほう、やっと親父、本気みてーだな」
親父の鎧は丸みを帯びた生き物のような、まるで竜を鎧にしたような形をしている。いつもは実家に飾ってあったものだ。そして飾ってあった親父の鎧の隣には僕用の鎧と槍も生まれた時から置いてあった。母さんからは本当に困った時に使うように言われてた。けど、家を出る時には置いてきた。そうか、呼べば来るのか。今の親父を見てそんな気がした。なぜか親父を相手にするのに丸腰できたのに、武器と防具はなんとかなるって思ってた。どうも僕にはまだ思い出してない事があるみたいだ。
「来たれ! 僕の武装!」
バラバラのパーツの黒い鎧が飛んできて僕に装着されていく。ヤベ、なんかこれ気分上がる。まるで自分の体の一部のように鎧が体にフィットする。何もつけてないみたいだ。最後に飛んできた槍を右手で掴む。
「そうか、思い出したのか」
親父が何か言ってるが、思い出したのは前世の記憶で親父には関係ないはず?
僕は槍を構え親父と対峙する。にしても、なんだこの鎧。兜のバイザーを下ろしてるのに、目の前には何もないかのように視界を遮るものはない。
「とおーっ!」
親父が地面を蹴って跳び上がる。なんか仮面のヒーローみたいな掛け声だな。世代なのか?
「とうっ!」
僕も飛び立つ。なんか似た掛け声だが
『お』じゃなくて『う』だ。エレガントさが違う。そして僕らは激しい空中戦を始めた。
お互いが突進してそれをかわすか槍で逸らす。単純な戦いだが、その一撃一撃の威力はハンパない。脳天に命中すればドラゴンでも昇天させられるだろう。僕らは鎧を纏ってるが、突撃の威力の前には何も着てないのと同じだろう。
「ちいっ!」
親父の攻撃が左肩をかすめた。それだけでバランスを崩し、地面に叩きつけられる。やはりこの真正面からの殴り合いじゃ僕の方が不利だ。なんだかんだで親父は僕の空中戦の師匠だから。
「父親を超える息子は居ない。世代交代は親の老化によるもんだ。俺様はまだまだ現役だ! 下半身もな!」
下半身も現役! もしかして、エルにも……許せん。ぶっ殺す!
「サウザンドニードル!」
気がついたら、マジックミサイルの嵐を放ってた。
読んでいただきありがとうございます。
みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。
とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。




