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「ハリケーン! しっかりしなさい!」
エルが声を張る。え、僕、呼んだのにシカト? ハリケーンって誰だ?
親父がゆっくりと浮き上がる。ハリケーンって親父のあだ名なのか? はずい名前だな。親父が僕を見る。攻撃しようとしたら、即、ミサイルをぶち込んでやる。
「すまん、すまん、遊び過ぎた。どーも魔法って奴は苦手だわ」
「ちょっ、エル、もしかして、この汚物と知り合いなのか?」
「ダメでしょ。お父さんでしょ」
エルがキッと僕を睨む。可愛い。やっぱ可愛い。
「はいっ。お父さんです。お父さんと知り合いなの?」
エルが目を丸くしてる。なんか変な事言ったか? エルの格好はギリシャ彫刻のようなフワフワしたワンピースみたいな服だ。そう、例えるならセイントを束ねてた女神アテナみたいだ。そう、今、気づいた。エルが精霊女王だ。前回会った時は彼女が目を瞑ってたし、僕もエルの事を忘れてたから、なんか見たことあるな? くらいだったけど、今は確信できる。エルが精霊女王だ。と言う事は、前回、僕の仲間たちがエルをさんざんいじり散らしたわけで……だから、僕らのクラスをこの都市に閉じ込めたのか? いや、エルはエルだ。そんな性根が小っこいわけない。呼吸をするかのように人助けをする人だ。僕はエルを見つめる。親父には注意しながら。
「キラ……」
「おめー大丈夫か?」
エルの言葉に親父が乱入してくる。
「親父、テメーは関係ないだろ。黙っててくれ」
「関係ないもあるもあるかっ! 何おめー、俺様の嫁を凝視してんだよ」
俺様の嫁?
俺様の嫁?
俺様の嫁?
え、エルが親父の嫁? コイツ何言ってやがる。年が釣り合わないだろ。
「親父、寝言は寝て言え。おっさんはおばさんと仲良くしてろ」
「はぁ? おめー何勘違いしてんだ。嫁って言ったら嫁なんだよ。なあ」
親父がエルの方を向く。エルがコクリと肯く。
え、まじか? 嘘だろ……
親父……
母さんってものが有りながら、浮気してやがったのか……
確かにこの世界は重婚は犯罪じゃない。けど、親父のような汚すぎるオッサンが、見目麗しいティーンエイジ半ばくらいの美少女に手を出すのは犯罪だろ。もしかしてエルは親父に何か脅されてるのか? それとも悪いクスリでも盛られたのか? どっちにせよ、エルが親父の嫁なんて有り得ない。助け出す。助け出すんだ!
「親父、ぶっ殺す!」
「何、キレてやがんだ。テメー、ぶっ殺すって言ったな。それはこっちのセリフだ。来たれ!」
親父があぐらを解くと、その体に飛んで来た黒い鎧が装着されていく。親父は黒い、顔も見えない全身鎧を纏うと飛んで来た黒い槍を手にする。
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