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 拮抗


「ぬるいわ!」


 親父はほざきながら後退する。それを追う光の柱。だが、その光の柱が親父の前で焼滅している。なんだ? よく見ると親父の口はすぼめられ、その先に放射線状に霧のようなものが発生して光の柱をせき止めている。


「マジックミサイルの大量砲撃か。なかなかやるな」


 親父の口は動かないのに、その声がする。腹話術か?


「マジックミサイルは迎撃すると消滅する。俺様は髪の毛より細い流涎弾でお前のミサイル全てを迎撃してるのだよ」


 まじか、千を超えるマジックミサイルを千を超える唾で打ち落としてるのか。すげぇ、人間辞めてるだけあるな。打ち落としてるだけじゃなく普通に喋ってるのも凄い。


「さすが親父だ。じゃ、これはどうだ?」


 僕は今右手から出してるミサイルと同じものを左手から放つ。


「サウザンドニードル! おかわりっ!」


 初めての技なので、僕のアドリブの弱さが出てしまう。

 左手のミサイル柱は僕から見て親父の左側をぐるりと回り、親父の背後から襲いかかる。


「なんだと! まだ白いものを出せるのかっ! さすが若いだけあるな」


「減らず口もここまでだ」


 さすがの親父でもこれを食らったら無傷じゃいられないだろう。親父の本気を引きずり出してやる。


「まだまだ甘ちゃんだな。ブレスを吐けるのは口だけじゃないって教えてやっただろ」


 親父は浮いた首をこっちに向けたまま前に倒れる。あぐらをかいたままうつ伏せに浮いている。親父の腰巻きが捲れ上がる。嫌な予感がする。親父の尻にミサイルが迫る。


 ブブブブブブブブブブブブブブブ!


 まるで虫の羽ばたきを大きくしたようなきたねー音とともに親父の尻側のミサイルも消滅する。まじか。おならでミサイルを撃墜してるのか。


「この変態がっ!」


「ふわぁははははは。ほめ言葉と受け取ってやる。お前の魔法なんざ、文字通り屁のようなもんだ」


 どうでもいいけど、ミサイルはガスごときでは打ち落とせない。という事は親父の尻からは物量があるものが放たれてるってわけで……なんか悪臭を感じるのは気のせいだろうか?


「どぎたなっ……」


 サリーの声がする。


「まあまあサリーさん。おっさんはあれでもまだマシな方ですから。会話してたらマジぶっ殺したくなるほど下品ですよ」


 マグロに下品と言われる親父。さすがだ。


「内容はともかくすごいわね。あたしじゃあの量のミサイルを防ぐ方法はないわね。しかも物理で。やり方は最低だけどすごいわね。けど、お父様、このままだったら、弾切れ起こすんじゃないの?」


「いやー、多分、それはそうそうないっすね。ああ見えても竜王。実体はめっちゃでっかいっすから、その唾液と糞ってすんごい量っすよ」


 ん、マグロ、ネタバレしてないか? やっぱ親父が黒竜王って事確定だな。


 読んでいただきありがとうございます。


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