親父からのプレゼント
「んー、もうそろそろ時間ね」
エルが僕に背を向ける。
「待って! じゃ、僕の変身体質はなおんないの?」
「んー、そうなるわね。神晶は魂とがっちり噛み合ってるから、死なない限り取れないわ。それにそんな強力な神の力、私でも干渉できないわね」
そう言うと、エルは消えてった。あ、今のエルについて聞けなかった。今のエルは何をしてるのかと。あと、アヌスの意味も教えられなかった。まずい。多分まだエルはあやふやだ。いろんなとこで僕の守護神はアヌスって言いまくるんじゃないか? さらに僕に変な異名がつきかねない。
「マリーちゃん。起きてー」
サリーが僕の体を揺さぶってる。あ、またいつの間にか寝ちまったみたいだな。そして僕は準備する。キラに戻って、着替えて、飯を食う。
そういえば、クラスメートたちどうなってんだろ。ま、いっか。アナとベルという二大災厄の面倒をみてもらってるだけで感謝しかない。
「これ、親父様からです」
教室の入り口ではマグロが待っていた。なんかきたねーものを二つ差し出してる。いらねーよ。
「ちょっ、なんすかウシオさん。あたしは言われた通りにやってるだけっす。別に敵対する気はナッシングですー」
あ、ウシオが頭上に斧を振り上げてる。どうやらマグロはウシオに敵認定されてるみたいだな。
「まて、ウシオ。悪いのは父さんだ。それにコイツを倒しても労力の無駄だ。お金も持ってなさそうだし」
「何言ってんすか。あたしだって多少はお金持ってますよ」
「よし、ウシオ、退治してよし」
「わー、待ってくださいよー。嘘、嘘です。あたしは貧乏ですー。それより、あたしを倒したらマップが手に入りませんよ。ほら、ほら、これ、お城へと一気に行けるマップですよー」
なんだと、マップだと。じゃ、この1階迷宮エリアから親父の城エリアまで一撃で行けるのか?
「まじか、親父がこれを」
本当なら助かる。また降りてくくは難儀だからな。マグロが持ってるのは、黒い、何て言うか、チンコに目と口とヒレがついたような小っこいフィギュアだ。悪趣味極まりない。
「なんか下品な形してんな。マグロの趣味か?」
「親父さんのですよ。けど、きたない形って酷いですねー。これ、知らないんですか? ラブカですよ。ラブカのフィギュアです」
「ラブカって何?」
「深海魚ですよ。ほら、可愛いじゃないですか。下品ってどこが下品なんですか? あー、もしかして変なものに見えたんですか? 心が汚いから変なものに見えるんですよ」
「うん、よく見ると魚っぽくはあるな。だが、お前が持ってるだけで下品なものに見えるんだよ」
「酷いですよ。ほら、サリーさん可愛いでしょ」
マグロが差し出したラブカをサリーが手に取る。
「ちょっと、まあ、微妙と言えば微妙な形かも……」
サリーの顔が赤い。キラだとサリーは大人しい。
「ほら、サリーも微妙って言ってるだろ。僕の心が汚いんじゃない。この形が良くないんだ」
僕らはしばしラブカのフィギュアで遊んで、それからマップとして使った。一個は僕、もう一個はウシオが管理する事にした。ちょっとだけ、ラブカの実物を見てみたいもんだ。裏返すと、えらがなんかすごい。
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