失われた記憶 34
「じゃ、ここにはガチャを引きに来たわけじゃなかったの?」
エルの目的は、その『しんしょう』ってやつだったのか?
「んー、ガチャが目的、神晶はついで。キラもいるから、あわよくばって感じだ」
「じゃ、これ、いる?」
僕は尻ウサギを差し出す。
「いや、私はこれでいいよ」
エルはポーチから犬のめじるしチャームを出すとポーチにつけた。
「それって、多分激レアだから、オークションにかけたら跳ねるんじゃないのか?」
僕は尻ウサギを見る。うん、可愛いって言えないこともないし、そういえば、この手の不良品系って爆発的な値段がつくって聞いた事がある。例えば、空いてるはずの穴が塞がってる五十円玉はネットでしらべたら数十万から下手したら数百万で取引されてるらしい。それを知ってから五十円と5円玉に穴が空いてるか気をつけてるが、そんなものに出会った事はない。
「いや、何かにつけるよ」
せっかくエルと手に入れたものだから、大事にしようと思う。今日の思い出に。
「そっか、それで、神晶についてだが、私はそれを集めるためにここに来た」
「ここに来たって、どこから?」
「異世界。剣と魔法の世界。力が全ての、暴力と理不尽の世界から。この世界は平和だ。人間が世界を支配している。だが、私が来た世界は違う。人が人より強い種族に抗ってる状態だ。我らはそれを一纏めに『魔』と呼んでるが、人の領地より、魔の領地の方が多い。何故そうなってるかの最大の原因が、人の奉じる神は消え去り、魔が奉じる神はまだ存在してるからだ。魔の奉じる神、邪神に我々は太刀打ちする術を持たない。それ故に異界の神の力を借りる事にした。この神晶を使う事により、私の世界の戦士たちにこの世界の神の力を付与する事ができる」
ん、なんか話が大きくなってきたな。エルって異世界から来たのか? まあ、魔法という謎力を使ってるから、何か秘密はあると思ってたから、異世界人と言うのもあり得るとは思ってた。それより、そのしんしょうを使うと神の力が使えるのか?
「そのしんしょうって僕にも使えるの?」
「使えるけど、止めておいた方がいいだろう。キラの魔力だと、この神晶は強力すぎる。多分、神に意識を塗りつぶされて、お主の自我はなくなるぞ」
「こわ、それって死ぬようなもんだよね?」
「まあ、そうなるな。もっと魔法のスキルを磨き魂が耐えうるようになったら、何か見繕うよ。まあ、私がそばに居るだけで、少しづつは魔力が成長する事だし。それで、キラには頼みがある。さっきマナの揺らめきが見えただろう。そういうのを見かけたら私に教えて欲しい。さっきのは神だから綺麗だったが、邪神の場合は闇が蠢くように見える。神も邪神も敬して遠ざけるのがベストだから関わらんようにな」
エルはブラックコーヒーを口にする。たくさん喋って喉が渇いたんだろう。
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