失われた記憶 27
「今日はついて来て欲しいとこがあるんだ」
また、朝の5時半、エルがチョコと酢蛸さんを手にレジに来た。もしかして、昨日あった事は夢だったのかって気もしてたけど、目の前には紛うことなくエルがいる。
「お金、あるんだからもっとちゃんとしたもの食べなよ」
「私は小食だし、これが好きなの」
小食は嘘だ。昨日、僕よりかなりお寿司食べたよね?
「じゃ、仕事終わるの待ってるから」
「うん」
今日は六時であがりだから、あんまり待たせないな。
「キラーさん、彼女デスカ」
同僚の女性、外国からの留学生のシタさんが絡んでくる。キラーさんはいかんだろ。殺戮者みたいだ。そう言う、アンタの名前だって、アンダーやタンだろと言い返したくなるけど言えない。
「ロリコンはダメですよ」
「彼女じゃねーよ」
エルと会話したお蔭か、咄嗟に言い返してた。成長したな僕。
「今日は、ガチャを引くために一緒に並んでくれないか?」
僕の顔を見るなりエルが言う。口調が女の子っぽくない。あのデレるのはかなり機嫌がいい時なのか?
「うん、いいよ」
別に並ぶくらいいいけど、エルがガチャに並ぶって、なんか年相応なとこもあるんだな。
そして、また僕らは列車に揺られ、目的地へと向かう。エルが並びたいガチャは十一時から引けるそうで、十時半には並ぶ事にして、まだまだ時間はあるけど、通勤ラッシュを避けるために早めに移動した。けど、街中についたのは七時前だよ。どこもシャッターが閉まってて、小さい猫がダッシュしてると思ったらネズミだった。ドブネズミかよ。デケぇ。慣れた様子で歩くエルについていく。歩くの早いよ。いつもたいした運動してないから、じんわりと汗かいてきた。そして、唐突に道端のユニークな形のベンチに座る。
「少し調べたいものがあるから」
エルは携帯をいじる。僕も少し空けて座って携帯をいじる。調べるのはガチャについてだ。
今は空前のガチャブームらしい。製造元出荷ベースで1400億円らしい。数がデカすぎていまいち実感がわかないが、とにかくみんなガチャしてるって事だな。特に今人気なのが『めじるしアクセサリー』なるもので、小さなマスコットとかに金具とシリコンのリングがついてて、傘の先端とかに目印としてつけられるから目印アクセサリーだそうだ。そう言えば、コンビニの傘立てになんか小物がついてるのをみるようになったがこれだったのか。確かに、傘って似たの多いからこれは便利かも。ペットボトルにもつくらしい。特に『ち〇かわ』や『サ〇リオ』『ディズ〇ー』とかが人気らしく、ガチャに並ばないと手に入らないらしい。最近たまにガチャに行列ができてるのはそういう事か。どうでもいい事だけど、『ちい〇わ』ってなんじゃ?と思って検索したら、間違って『ちんかわ』で検索したら画像が出てきたのはウケた。やっぱみんな同じ事考えてんだな。
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