失われた記憶 21
「それで、どういうからくりなの?」
さっきの勝因、仕掛け、種、いい言葉が見つからず、からくりって聞いてみた。
ここはパチンコ店に付属のレストラン。僕はサンドイッチ、エルはそばを食べてコーヒーを嗜んでるとこだ。脇の下、靴の中、お尻の谷間までベタベタだ。激しい戦いだった。黄金騎士格好よすぎだろ。倒れては立ち上がり、その度に玉が増えてった。まあ、最終的にはやられたんだが、最高だった。つまんないなんて思ってたのは誰だよ。こりゃ癖になりそうだわ。ハマる人の気分がよくわかった。これは沼だ。
さっきは六万円以上勝った。それを二人で等分して、自分が出すというエルを押し切って食券代は僕が出した。
「魔法よ」
「魔法?」
「ちょうど今、誰もいないわね。ショートプレコグ。プレコグってプレコグニションの略よ。プレコグニションは予知って意味。それのショート。少し先を予知する魔法。もっと先を予知するのは今の私ではマナが足りないけど、10分くらいまでの予知なら、数回は使えるわ」
予知? それって未来がわかるって事なのか? さっき打った台は初当たり確率が約400分の1って書いてあった。千円で数字を回せるのが20回くらいと仮定して、千円で当たる確率はだいたい20分の1くらい、5%くらいだ。ガチャのSSRくらいの確率だ。夢のまた夢だ。それをハードラックとダンスしまくる僕がクリアするとは有り得ない。うん、予知だ。そうとしか考えられない。
「そうかー。予知なのか。凄い、凄すぎる」
「え、そんなにあっさり信じるの?」
「むー、僕はめっちゃ運が悪いからね。千円でパチンコに勝つとか、何らかの奇跡が起こんないと無理だからね」
「悲しい人生歩んできたのね。じゃ、そろそろ行くわよ」
「え、もう寿司食べに行くの?」
「何言ってんのよ。今腹ごしらえしたばっかじゃない。再び戦いで身を焦がすのよ」
「いやー、十分稼いだじゃない。もういいんじゃないの」
「はぁ? こんなのまだまだ序の口よ。はい、コーヒー飲み干す。そして立つ」
僕は言われるままついて行く。
『わが一生一片の悔いなしっ!』
液晶の中で裸王様が昇天してる。パチスロ北風の拳で千円で二十二連してエンディング演出を視てる。まさか、この僕が昇天させる日がくるとは……僕も昇天しそうだ。裸王の攻撃を拳太朗がくらう度に僕は大量に汗をかき、立ち上がる度に大量の脳汁が迸った。裸王のなんとか波を食らった時には死を覚悟したが白髪の拳太朗の兄さんが出てきてかわした時にはもう半ば失禁しかけた。
ヤバい予知、ヤバすぎる!
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