失われた記憶 20
「動いた! 動いた!」
液晶の中にデフォルメされたキャラが何かアクションして消え、三つ回ってる数字の一番左が止まる。そして、グルグル回ってる数字が右、真ん中と止まる。数字はバラバラだ。それから、玉は真ん中の門みたいなのにサクサク入り、液晶の数字が回り続ける。けど、ずっと数字がバラバラだ。何も起こんない。これの何が楽しいんだろうか? どんどん玉が減っていく。さっきまでの緊張が嘘のようになくなる。
「あっ、リーチ、リーチ!」
「えっ、」
画面では3の数字が左右に止まっていて、真ん中の数字がグルグル回ってる。
「あ」
2で止まった。そして、少し時間が経ってまた数字が回り始める。
「僕は、ラック激低だからこんなもんだよ」
運が絡んだら、僕はクソ雑魚だ。ガチャでは被りが当たり前だし、おみくじは大吉など都市伝説だと思ってる。ジャンケンはランダムに出してて敗率八割超えるし、受験ではA判定のとこをサクッと落ちている。でもそれでいい。運が絡む事はしないようにしてるし、もし何らかの勝負しないといけない時は九割勝ちを拾えるように環境を整えてる。
『運』という時は、『はこぶ』と読む。自分でそうなるようにしてるんだ。だから運が関係ないくらいに実力を上げるようにする。それが僕の処世術だ。
「いいや、違うわよ。今までツイてなかったなら、これからはツキまくるだけよ。運は誰にでも平等よ」
エルの口調は年相応の女の子だ。甘ったるいふじこちゃんの真似じゃなく、いつもの断定的なおっさんみたいなものじゃない。
玉はあと少ししかない。これが無くなったらエルも満足してくれるだろう。
『リーチ!』
台が喋る。見ると数字の2がテンパってる。なんか液晶画面の中じゃ金色の記事と化け物のバトルが行われていて、
『ジャキーン』
おお、なんか画面にライオンのマスクみたいなのが落ちてきて光った。なんだこれ、メッチャ派手だ。そして液晶での戦いは進み、画面にでっかい剣が出てくる。『押し込め』って書いてある。え、もしかして、台についてる剣をどうにかするのか? これって飾りじゃなかったのか? レバーから手を離して剣の柄を握る。
「いっけぇ」
僕の手にエルの手が添えられて一緒に剣を押す。エルの冷たい手にドキッとしてしまう。また、画面にライオンのマスクが出てきてキュンキュン言ってその音が早くなり、マスクが消えると敵が吹っ飛ばされていた。もう何がなんだかわかんない。心がジェットコースター過ぎる。
「当たったわ! 当たったわ!」
そして、画面に右打ちって字が出てきてそれ通りしたら、液晶で不気味なお姉さんと黄金騎士が戦い初めてサクッとぶっ倒し、訳もわからず打ち続けたら戦いが終わった時には玉のストックが20000超えていた……
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