失われた記憶 12
「なんか自分の名前は照れるな」
オムライスには『らふぁえる』と書いてある。
「お主は玉子ないのか?」
僕のはチキンライスのみだ。
「フライパンの都合上」
さすがに僕のも玉子使うのは面倒くさいなと思った。
「なんか悪いな。じゃ遠慮なく」
ラファエルはオムライスにスプーンを刺し口に運ぶ。
「うわ、うっま! あ、みさきが出てきた。お主はまだ寝とくんだ」
なんか、今、キャピった声しなかったか? 『うっま!』って。最近のミームなのか? さすがに若い女の子のそういうのは把握してないな。クールな彼女にしては珍しい。いい仕事したな、僕のオムライス。しかも、なんか一瞬、髪の色が変わったような?
「ん、ラファエルさん、今、一瞬、髪の毛黒くならなかったか?」
「気のせいだ光の加減だろう」
落ち着いた声で普段通り。けど、なんか取り繕ってく感あるな。まあ、何かあるのかもしれないけど、話したくないって事だろう。
「おお、それより、キラさすがだな。私も料理はするんだが、このオムライスの御飯はやばい。材料は、玉ねぎ、鶏肉、グリンピースにケチャップ。同じなはずなのに何が違うんだろう?」
呼び捨てで名前を呼ばれてる。これって距離感が縮まったって事だよな。
「それは、しっかり玉ねぎを炒めて甘みを出してるのと、ほんの少しニンニクと白ワイン入れたんだ」
なんか、どうしても言葉が固くなってしまうな。僕の師匠は何でもニンニクを隠し味に入れる人で、僕もそれを継承している。お味噌汁でさえもほんの少しニンニクを入れると謎旨みが出る。けど、しっかりニンニクに火を通さないとエグ味が出るから要注意だ。
今回のオムライスは、じっくりと玉ねぎを甘くなるまで炒めて、肉を入れて塩コショウして、その後ほんの少量のニンニクを入れしっかり炒めたとこで白ワインを少量入れてアルコールを飛ばして、ケチャップを入れて酸味を飛ばして御飯を入れて炒めて塩コショウで味を調えている。グリンピースは色味を良くするため焦がさないように最後に入れて混ぜた。そして、玉子で包んで皿にのせ、『らふぁえる』とケチャップで書いた。ハートマークをつけようか迷ったが、さすがに恥ずかしいのでやめた。
「今日のハンバーグも美味いな」
「今日は時間あったから生地を寝かせたから」
ハンバーグの生地は冷蔵庫で30分程寝かせたらより美味しくなる。
「キラはいいお嫁さんになれそうだな」
「あ、ありがとう」
なんか、普通ラブコメとかじゃ、ドキドキしながら料理を作るシチュって女の子のものだよね。けど、なんかこういうのって悪くないな。
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