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 一閃


「かーっかっかっかっ。ジャリ共どこからでもかかってこいやーっ!」


 画面の中で、腰に手を当てて高笑いする親父。

 僕のリプレイを見終わり、今度はサリーたちのだ。画像はサリーたちの後ろから俯瞰な感じだ。どこにカメラあるんだろう?


「おい、じじい。ご主人様、マリー様はどうした?」


「ん、兄ちゃん。マリーか? 『ブッ』とばして昇天させてやったわ」


「ゆるさんっ!」


「ウシオくん落ち着いて、あれ、多分、マリーちゃんのパパよ。思ってたより汚いから一瞬迷ったけど間違いないわ」


「うう、臭い。シェイド、鼻がいいから辛いぞ。なんか腐ってるのか?」


「シェイド、部屋に戻って! 早く!」


「何をすんのか知らんが遅すぎだ。オメガ・グラビティ!」


 親父の声と共にウシオたちの動きが止まる。


「一閃」


 唸るような声を出し、親父が動いた。まるで大きな毛筆で塗りつぶしてるかのように黒い一本の線が、ウシオたちを一筆書きに通り過ぎる。三人は吹っ飛ばされながら光り消える。サリーとシェイドだけらならまだしも、ウシオも一撃……親父は立ち止まると、手にしている黒いランスを振る。血を払う癖なんだろう。ここで動画は終わる。


「体が重くなったって想った時には吹っ飛ばされてたわ。痛みすら感じなかった」


「ご主人様、多分、黒いドラゴンと同じように重力を操ったんだと思います。参考にならない戦いで申し訳ございません」


「シェイドも家に入ろうとしたら動けなくなった」


 三人は落ち込んでるけど、たいしたものだ。親父がちゃんとした武器を使ってた。僕なんてラバーカップだったのに。


「ご主人様、あの父上が使われてた槍、間違いなく死王を貫いたものでした」


「僕は初めて見た。親父がちゃんとした武器つかったの。それほど余裕がなかったって事だよ。あと、悪いけど、次も僕は一人で戦いたい。マリーじゃひどい有様だったけど、キラならやれる」


「ご主人様、私では足手まといですか?」


「いや、そういう事じゃない。親父の能力がわかればウシオならあいつをやれるはずだ。あいつは見ての通りヨボヨボに老いさらばえてるからな。けど、僕はあいつを自分の力で倒したい。ずっと、あいつの背中を追いかけてきた。今の僕ならキラだったらいい勝負が、いや、倒せるはず。僕はあいつを乗り越えないといけないんだ」


「かしこまりました。ご主人様の望みのままに」


「それで、マリーちゃん。勝算はあるの?」


「あいつはほとんど魔法を使えないはず。物理と魔法の同時攻撃ならやれる」


「とか言いながら、またここに戻ってくるのだろうな。また、愉快なやられ方を期待しておるぞ」


「黙れエビシ! 二度とここに来てたまるか!」


 僕らは神殿を後にして、キラに戻れるまで教室で休んで親父と再戦する事にした。


 読んでいただきありがとうございます。


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