黒伝説
「くたばれえーーーーい!」
思いの丈を口から迸らせる。親父の尻まであと少し。この距離ならお釈迦様でもかわせまい。ゲッ、やなもんが見えた。最悪だ。がちノーパンだ。よかった棒があって。親父のきったねー尻なんざ死んでも直に触れたくない。
ブブォッ!!!
音がしたと思ったら、僕は背中から地面に叩きつけられた。鼻が痛い。目に何かが染みて開かない。屁、屁なのか? まるで空気で殴りつけられたみたいだ。激痛で体が動かない。遠くから声が聞こえる。不愉快なだみ声。親父だ。
「ぶぁーーーーーーーーっかめ。お前のやることはすべてまるっとお見通しじゃい! 死んだフリなんざあさはかじゃ。舐めるなよ。ブレスが吐けるのが口からだけだと思うなよ! ばーか、ばか、ばか、ばか、ばか……」
親父の声が遠くなっていく。僕はやられたのか……
ちゃりらりらーんらーんらーん♪
「おお、勇者よ死んでしまうとは情けない」
僕を上から洋画のような濃いイケメンが見下ろしている。ヴァンパイアロード『エビシ』だ。
「あうちっれ」
エビシがアメコミのように叫ぶ。とりあえずぶん殴ってやった。
「いきなり何をするんだスイカバスト。お主に触れるだけで吾輩が大ダメージを受けるのを忘れたのではないか? もしかして、寝起きが悪いのか?」
「うるせー。黙れ。寝覚めがいい訳あるかー! なんか、お前の顔を見るだけで、苛つくんだよ」
「おお、苛立つと人を殴るのはいけない事だと子供の時に習わなかったのか?」
エビシは真面目な顔を装ってるが、目尻と口の端がヒクヒクしてる。笑うのを堪えてやがるな。コイツ、僕と親父のバトルを見てやがったな。
「うるせぃっ! 四の五の抜かすと浄化するぞ」
「まあまあ、そんな興奮するでない。おめでとう。貴様がナンバーワンだ。受け取れ」
エビシが僕に花束を差し出す。どっから出したんだ。とっさに受け取る。おお、いい香りだ。真っ赤なバラだ。もしかしてコイツ、僕を口説いてるのか? 花束なんて貰うの初めてのような。
「なんなんだこれ? 悪いが、僕はお前のナンバーワンなのかもしれないが、その気持ちには応えられないな」
「何勘違いしておる。ほら、あれを見ろ」
エビシが指したのは壁にかけてあるホワイトボード。それには、『愉快な死に方トップスリー』と書いてある。
「ん、第一位、屁死、マリー・シドー。なんじゃそりゃ? 新しい言葉つくるなや。馬鹿にすんなよ!」
二位には腹上死、三位笑死と続いてる。花束をエビシに投げつける。けど、奴は薄笑いを浮かべてる。マゾか。
「おめでとう、スイカバスト。長い迷宮都市の歴史で栄えあるナンバーワンだ。まさか、屁で死ぬ阿呆がおるとはな。喜べここではその死にっぷりをいつでもモニターで鑑賞できる。迷宮都市の歴史に新たな1ページを刻んだのだ」
なんだと。いつでもリプレイが見れるのか。ちょっと第二位の腹上死に興味が湧いたが、それは多分十八禁だろう。
読んでいただきありがとうございます。
みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。
とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。




