疑惑
「こんだけ痛めつけても出てこねーって事は、問題なさそうだな。ファの予測もたまには外れるって事か」
ん、父さん、何言ってるんだ? ファ、母さんの予測って何だ? 問いかけたいが、声が出せない。やられ過ぎた。僕、マリーにしては頑張ってる。貧弱なマリーの体だから、いつもだったらとっくに意識を手放している。こんな奴に負けたくない。親父に対する意地でなんとか耐えられてる。だが、もうヤバい。あと一撃で多分リスポーンだろう。気合いを入れてなんとか立ち上がる。
「じゃ、そろそろ楽にしてやるか」
まずい、また唾攻撃だろう。多分親父は動かないんじゃなく動けない。全く素振りは見せないけど、どっか負傷してるんだろう。けど、それは今は考えないどこう。どうするか。何かいい方法は。どうにか一矢だけでも報いたい。一矢、一撃当てれば僕の勝ちだ。考えろ。使えるものは何でも使え。親父の言葉が頭を巡る。僕にあって、親父にないもの。ある。あるって言えばある。上手くいくがわかんないけど、構える。腰を下ろし前屈み気味に。昔流行った、『だっちゅーの』ポーズ気味に前で胸を寄せる。一瞬、親父の視線が少し下がった
「かかってこいやー!」
「デケぇ乳を父に見せびらかすなや! ヤケクソか? まあ、いいだろう。止めだっ! ぶっ!」
音と着弾は一緒に感じられた。右胸に激痛。やはり親父は一撃で倒すために胸を狙ってきた。視線を誘導したのも要因かもしれない。僕はクルクル回りなが吹っ飛ぶ。相変わらず激しい威力だ。そして床に叩きつけられ、僕は目を閉じる。
「んー、リスポーンしねーなー。当たりどこが悪かったかー。まあ、気失ってるみてーだから、あとは溶けて昇天すっだろー」
「うっわー、きっつー。実の娘の胸に唾を吐きかける鬼父親。鬼畜オブ鬼畜っすね。オッサン、ウシオさんにボコボコにされればいいんですよ」
「ウシオ? ああマリーちゃんのお仲間か。もうほとんど回復したから問題ねー返り討ちにしてやんよ」
「じゃ、なんで、回復してないのにマリー様の相手したんすか。もし、欠片持ってたならヤバかったんじゃないですか?」
「いや、俺はこいつが欠片は持ってねーと思ってたからな。それにそんときゃ女王様に手伝ってもらってたよ。ここであいつを倒すのは俺でも無理だからな。まあ、これでこいつはシロって言えるだろ。魔王は隠れるのは上手いが、無駄にプライドたけーからな。唾なんざぶっかけられたら、一発で激オコで襲いかかってくるわ」
魔王? もしかして、親父は、いや精霊女王は僕が魔王かもって思ってたわけか? 薄れゆく意識の中で、僕は二人の会話を聞いている。
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