ガスフライヤー
「まあ、ついでだからいい事教えてやる。本気で臭いにこだわるなら、パンツは脱げ。生だとより臭くなる。まあ、多分パンツがフィルターみたいな役割果たすんだろな。昔ガキの頃、水上置換法ってやつを学校で習って、家で試してみた。風呂に入るまで、できるだけ屁を我慢して、浴槽の中で母親の洒落た化粧水のビンに溜めていったんだよ。ガキ、水上置換法って知ってるか? 泳ぎながら痴漢する事じゃねーぞ」
水上痴漢法かよ、プールの変態を取り締まる法律みたいだ。
「それくらい知ってっすよ。こう見えても、あたし、ちゃんと勉強してんすから」
え、こっちの科学でそんな言葉は聞いた事ないぞ。もしかして教育テレビか?
「で、数ヶ月経って、やっとビン一杯に溜めたんだが、開けて嗅いでみると、あんま臭くねーんだなこれが。気が抜けた炭酸みてーな感じだった。多分、臭い匂いって水に溶けるんだろな。そう言えば、風呂で水を通したらあんま臭くねーもんな。要は、生がいいって事だ。勉強になっただろ。試してみてもいいぞ」
数ヶ月もよく家族に捨てられなかったな。屁を飲み物に例えるなよ。
「オッサン、何言ってんすか。あたしがいきなり人前でパンツ脱いで放ったら、かなり高レベルの変態じゃないすか。あんたみたいな、きったねーオッサンだったら、違和感ないですけど、あたしみたいな超絶美少女がそんな事したら注目の的ですよ」
「注目の的、いいじゃねーか。本当は実演してーとこだが、もうHPが残り少ない」
まじか、親父、ヒットポイントが少ないのか。やってやる!
「オッサン、HPってなんすか?」
「屁パワーの略だ。昨日は今日のためにしこたま芋食ったんだが、さすがに往復で大陸横断したら足りなくなるな。俺様の飛行スキル、名付けて『ガスフライヤー』だ格好いいだろ」
それって調理器具では? ゲススキルの名前にすなよ。
「え、まじすか! おっさん、聖都まで、おならで往復で飛んで来たんすか? すごいと言うよりキモっ。マリー様、やっぱりこいつ早くどうにかしてくださいよ!」
まじどうにかしたい。
「まだ我慢しろ。話からこいつの攻略の糸口が見えるかもしれないだろ」
「んー、マリーちゃん。パパを攻略したいんですかー。ゴメンね、パパはママ一筋なのー」
「黙れ! で、実際のとこ、聖都で何と戦ったんだ?」
「しょうがねーな。魔王だよ。魔王。剣の魔王だよ。けど、女だったから、何で言えばいいんだ? 魔王女、魔女王?」
ん、そうだな。女の魔王って何て呼べばいいんだ?
「女魔王でいいんじゃないか?」
「で、その女魔王なんだが、剣の魔王が取り憑いた剣を持ってたわけだが、もう、無害って言っていいんじゃねーかなー。あいつ、強くなる事以外に興味ねーみてーだし。ほたっててオッケーって事で終了だ。けど、そんとき、一緒に襲いかかってきた手でやるねーちゃんが厄介でなー。疲れたんだよ」
ん、手のねーちゃん? もしや?
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