探究心
「今、役に立ってるじゃねーか。まずは原料だ。量を出すためにはその材料、芋が必要だ」
親父は満面の笑みを浮かべている。そんなに屁の話をするのが楽しいのか? 芋をへの原料って言うな。芋の人気が落ちるだろ。
「その話、聞かにゃあかんのか?」
屁の話なんか本当どうでもいいわ。
「まずは、たんぱく質。臭いの大半はたんぱく質を分解する時に生まれるからな。あと、発酵調味料、味噌や醤油やナンプラーは必需品だ。いいコクを与えてくれる。あと化学調味料。何故かはわからんが香りに奥行きを与えてくれる。脂も必需品だ。牛肉の脂、豚バラの脂、ラード、バター、マーガリン。無いよりは有った方がパワフルになる」
ん、なんかちゃんとした料理の話みたいだな。
「忘れちゃいかんのがニンニクだ。あいつが無いと画竜点睛を欠く。そして、大事なのが酒だ。経験的には焼酎やウィスキーなとか蒸留酒より、ワインや日本酒のような発酵酒の方法がいい仕事する気がする。ほら、よく子供とかが、お父さんの後のトイレは臭いから嫌とか言うじゃねーか。家族みんなだいたい同じもの食ってるはずなのに父親のトイレが臭いのは多分酒のおかげだと俺は思ってる。俺様はそれらの食材を食べ、次の日の屁の匂いを書き記す。それを数ヶ月繰り返してほぼ最高の組み合わせを生み出した。ニンニクと油たっぷりのサーロインステーキつけ合わせのポテトマシマシ、ソースはガーリック醤油系にフルボディのワイン。単体料理だとこれがほぼ最強だが、これをさらに色んな酒でブーストして、あてにポテトチップス、焼き鳥の豚バラ串、ニンニク串などで奥行きを広げてやれば最高だ。素晴らしい明日が待ってるぜ」
親父は何かを成し遂げたようなスッキリとした顔をしてる。多分、そんな事に心血を注いだ事がある人間は世界に一握りだろう。アホか!
「そんなの知るか。まじ、どうでもいいわ」
「え、それまじすか。それ、ほんとなら、女の子として、それらを避けると臭くなくなるんですね」
「おい、ジャリ、子供がんな事気にするな。子供は元気に育つ事だけ考えろ。そういう事考えるのは、ぼぼする前の日だけにしとけ。じゃねーと、マリーちゃんみたく育たんぞ」
親父は胸の前で何かを持ち上げる仕草をする。このセクハラマシーンめ。
「ええーっ。それは困りますぅ」
なんか不穏な言葉が混じってたが、マグロは意味がわかんなかったみたいだな。九州男児かよ。
「だから、ジャリは所構わずぶっぱなせばいいんだよ。考えてみろ。食材を厳選して熟成したブツを、満員電車やエレベーターで解放する時の事を。ほら、ゾグゾクするだろ」
なんてはた迷惑な生き物なんだ。あと、コイツには羞恥心ってものはないのか?
「無理無理無理、あたしにはそんなの無理ですよ」
「簡単に無理って口に出すな! 無理かどうかはやってみてから考えろ」
「何言ってんすか、満員電車やエレベーターって、あの人が動けないくらい密集したとこでしょ。そこで放つなんて、少しでも音がしたら、人権なくなるじゃないですか」
お、マグロ、顔赤くねーか?
「チッ。しょうがねーなー。いいこと教えてやる。音っていうのはだなー振動だ。振動を押さえたら鳴りにくくなる。音が出そうになった時は指をあてて振動しないようにするんだ。俺様ほどになると、音量、音階は自由自在だが、おめーはまだがきんちょだからしゃーないな」
え、まじか。いい事聞いた。本当に我慢できない時に試してみよ。
「バカじゃないですか、満員電車でお尻の穴いじってたら、変態性癖の人にしか見えんじゃないですか」
そうだな、動きが不自然すぎるな。
「そこは、あれだ、お前次第だ」
「って、なんであたしがやる事前提になってんすか」
百戦錬磨のマグロを親父が押している。恥じるマグロって珍しい構図だな。
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