疲労
「メスジャリ、しょうがねーだろ。俺様は少し疲れたんだよ。少しくらい休憩させろ」
「メスジャリじゃなくて、マグロですっ。ちゃんと名前呼んでくださいっ!」
メスジャリ……ジャリって子供の事を関西でそう言うんだったよな。なんかめっちゃコンプライアンス違反してそうな言葉だな。けど、親父、疲れたって?
「おいおい、てめー、何か疲れるような事したかよ? 僕の胸つついて、おならこいただけじゃねーか」
「まだまだだな。お前も一度、全身全霊を込めて思いっきりぶっぱなしてみろ。結構くるぞ」
何がくんだよ。
「くるじゃなくて、狂うの間違いじゃねーか?」
「うっせーな。俺はじじいだから疲れんだよ」
「疲れてんなら、家帰って寝とけよ。じゃ、ここで手打ちって事で先に通してくれ」
「ダメだね。ちゃんと俺様に力を見せんとここは通せねー」
今ふと違和感が。いつもだったら親父の性格上、問答無用に攻撃してきて僕はボコられてるはず。思い返すと、親父は今日は全く激しく動いて無い。もしかして、ガチで疲れてんじゃないのか? これまで積もり積もった恨みを晴らすチャンスなのか? そう言えば聖都まで行って帰ってきたって話だったな。
「そういや、親父、さっきまで聖都に行ってたのか?」
「ん、そうだが」
さらりと言うな。めっちゃここから遠いんだろ。
「で、何してたんだ?」
「んあ、女とドツきあってた。いーい女だったぜぇ」
「かあさーん。パパが何か言ってますよー」
「冗談だって、まあ、相手が美人だったのは本当だが、ま、子供には言えない用事だな」
ん、聖都に親父の相手ができるような女性がいるのか? それよりも。
「それなら、親父、僕を聖都に連れてってくれよ。戻りたいんだ」
親父は腕を組んで考え込む。言ってみるもんだ。ワンチャンオッケーかも。
「そいつは、難しいな。俺は人を乗せられないからな。まあ、お前の分の屁は自分で出すならなんとかならない事はねーが」
やっぱダメか。
「はぁー? 何言ってるんだ?」
何でまた『屁』の話なんだよ。なんの関係あるんだ?
「そうだな、まずは屁レシピを伝授してやる」
言ってる事がイミフすぎる。
「なんだそれ?」
「まず、良い屁を生み出すのには食事からだ」
親父は真面目な顔つきでなんかのたまってやがる。
「良い屁? そんなもんあるか!」
「まあ、黙って聞け。俺様は若い時、より臭いが強いやつを生み出すために研究してきた」
「おいおい、もっと人の役に立つ事研究しろよ」
頭痛くなってきた。何やってんだよ。
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