ヒーロー
「くそっ、この妖怪め!」
まじでクソ親父は妖怪にしか見えない。妖怪大図鑑とかにその姿が描かれていても違和感ないだろう。
「妖怪上等。それは俺様にとって褒め言葉だ。お前、俺様が一番リスペクトしてるヒーローは誰だと思うか?」
断言できる。親父も転生者だ。今まで観察したことを踏まえて予想してみる。多分親父は前世は昭和生まれ。なぜならハチャメチャ過ぎる。昭和ヤンキーだったんじゃないだろうか? リーゼントで盗んだバイクで走り出してたんじゃないだろうか? それを踏まえての親父がリスペクトしてるヒーローと言えば。
「そうだな。けっ〇う仮面かア〇アホマンだろ」
ちなみにけっ〇う仮面とは、顔に仮面をして全裸というヒーローでは無くヒロインで、昔その情報を得た時にかなりの驚愕を覚えた。学園ものの話らしいけど、昭和はそこまで監視カメラは無かったし、スマホも無かったから全裸でも捕まり難かったかもしれないが、今の令和の世の中だったら即逮捕だろう。
アホ〇ホマンとは、昭和のコントのヒーローで、黒いブレストアーマーに白いブリーフに茶色いシミがついてるという激しい格好をしてた。正直、初めて見た時には、その見た目だけで笑ってしまった。しかもゲスト出演で偉大なミュージシャンがその格好をしてて、それも見た瞬間に我慢できなかった。
まあ、親父の事だから普通のヒーローじゃ満足できないはずだ。
「なかなか鋭いが、ナンバーワンは違う。わからないようだから教えてやろう。ラットマンだ!」
鋭いって、やっぱいい線いってたって事か……
ラットマン! なんだそれ? バット〇ンのパロディか?
「わからないようだな。ラットマンを和約してみろ」
ん、ネズミ人間? ネズ〇男か! まんま親父じゃねーか。
ネ〇ミ男、知らない人は夢の国のマスコットを連想するかもしれないが、その対極にある存在だ。ゲゲゲの〇太郎という、漫画やアニメに出てくる妖怪で、確か三百年以上生きている。主人公の鬼〇郎の友人というか腐れ縁で、戦闘能力は低いけど、とにかく汚い生き物だったのを覚えている。
「おい、そんなしょーもない奴リスペクトするな」
「どこがしょうもないんだ?」
「ビジュアルも、やってる事も最悪だろ」
「マリーちゃん、さっき俺様は言わなかったか? 中身が大事だと」
「何言ってやがる。アイツは中身も最悪だろ」
「なんだかんだで、おめーはまだケツが青いガキだな。ラットマンは、確かに、強い奴を見ると媚びてヘコヘコするし、自分が不利だと思ったら、すぐに手のひら返して裏切ったりする」
「ほら、最低じゃねーか」
「だがな、あいつは最後の最後では、絶対に仲間を裏切らない、最高の漢なんだ!」
親父が興奮して叫んでる。そんなにアレが好きなのか?
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