海エリア
「全く凶暴だな。私は高貴で無害な平和主義者なのに」
ボコられたエビシは縛られて目隠しされて転がってる。さすがヴァンパイア。もう傷は治ってる。なんかこいつハァハァ言ってないか。顔が嬉しそうだ。もしかしてドMなのか? きもっ。
「高貴な者が覗きするなよ」
「覗いておらん。堂々と見ただけだ。安心するがいい。その美しさを口からほとばしらせたいとこではあるが、私の心の中にしまっとくから。まあ、脳内にはしっかり焼き付けたからな」
「お灸が足りないようね。二度とその口開けないようにしてやるわ」
サリーがエビシを踏みまくる。げっ、奴の顔蕩けてる。間違いないな。けど、ああはなりたくないもんだ。エビシ、イケメンで部下も居るって言ってたのにボッチなのが分かった気がする。
「じゃ、ウシオちゃん。このゴミを捨ててきて」
「待て待て、さすがにこのまま海に捨てられたら、しばらく復帰できんぞ。私には仕事もあるんだが」
「そんなの知らないわ。自業自得よ」
「サリー、少し待て。こいつ、色々知ってるんじゃないか?」
シェイドがエビシに近づき、背中のヒレを触ってる。コツコツ叩くと軽い音がしてる。中は空っぽで浮き輪代わりになりそうだ。
「ありがとうグリーン髪。そうだ。私が知ってる事を教えてしんぜよう。この広いオーシャンエリア。闇雲に動いても次のエリアは見つからんぞ」
そう言えばコイツはどこからやって来たんだろう。コイツは迷宮エリアの神殿に居たはず。という事は神殿エリアとここを繫ぐワープゾーン的なものがあるんだろう。せっかくの海、修業してるクラスメイトの女子たちにも楽しんで貰うのもいいかもしれない。男は知らん。
「じゃ、話次第ではお前の待遇を考えてやる。さっさと話せ」
エビシの話では、ここは魔物もフロアボスも居なくて迷宮都市のオアシスのようなもの。今は満潮に近く、干潮の時にできる道が真ん中の島に続いていて、その島でクエストをクリアしたら次のエリアに行けるそうだ。その島に上の階と繋がるワープポータルもある。あと下のエリアは三つ。空中都市、岩山、城。その城の玉座に精霊女王がいるそうだ。前に僕らが願いを叶えて貰ったとこだ。
「お前にしては上出来だ。解放してやる」
「はっはー。有難き幸せ」
エビシは海に帰っていった。どうでもいいけど、ヴァンパイアって泳ぐ時に息継ぎしなくてもいいんだな。少し便利だけどなりたくはない。回復魔法を使えなくなったら僕の存在意義が薄くなるもんな。
「アイツ、何しに来たのかしら」
サリーはぐでーっと寛いでる。
「んー、多分、情報を与えに来たんだろうな。早く進めという事だろう」
精霊女王がエビシを放ったんだろう。攻略を急げと。まあけど、休息は大事。道ができるまで待つか? けど、満潮から干潮まで約6時間だよね。ちょっとそれは長過ぎるなー。
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