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第一回ハワイ女王杯真珠湾空戦大会

ハワイに無限に広がる空は晴れ渡り、空と宇宙を隔てる境界が蒼穹となる。


真珠湾の湾内に位置するフォード島のフォード飛行場。

元はアメリカ海軍航空基地として飛行場が設置されており、現在はハワイ女王国管理の飛行場として運用されている。


飛行場には警備の兵が配置され、その規制線外には、多数の兵や関係者が観客として所狭しと並んでいる。


更に真珠湾を取り囲む湾岸には数え切れないほどの市民が押し寄せており、賭けをする者、コーヒータイムを楽しむ者等、皆この戦いを今か今かと心待ちにしている様子であった。


管制塔前には中央に指揮台があり、その周囲には多数の椅子が整列してハワイ及び日米の将軍、高官が着座している。


すぐ近くの滑走路には、2機の戦闘機が機首を並べて駐機されている。


一機は、全身純白の姿に、主翼にハワイ王国旗を掲げた第日本帝国海軍主力戦闘機、零式艦上戦闘機ハワイ軍装式。

21型で、エンジンは栄一二型空冷星型複列14気筒、940馬力。重量は1754キログラム。武装は機首に7.7ミリ機銃2丁、主翼に20ミリ機銃2丁である。


そしてもう一機は、深緑色にノーズに鮫の顎が描かれたアメリカ陸軍航空軍主力戦闘機、カーチスP40。愛称ウォーホーク。

B型で、エンジンはV-1710液冷V型12気筒。1150馬力。公称重量は2880キログラム。武装は本来は機首と主翼に12.7ミリ機銃6丁であるが、今回は機首の2丁のみとなっている。


2機の戦闘機には整備兵が取り付いて最終点検をしており、その傍らにはそれぞれのパイロット、新海少佐とルイ中尉が椅子に座って待機している。


「起立、Please rise」

司会進行を務める高遠次郎が告げると、全員が静かに起立し、静寂が拡がる。


身辺警護の編上靴の発する規則正しい音の間に、しゃなりしゃなりと流麗な足音を響かせ、来賓席に向けて二人の女性が歩みを進めてくる。


一人はカイヒカプマハナ女王、そしてもう一人は、ラアヌイ王女である。

二人ともハワイアンドレスだが、今回異色を放つのはラアヌイ王女だ。

王女は頭にカナカマオリ旗をあしらった緑黄赤色のヴェールを被り、その表情を窺い知ることができない。


全員の視線がラアヌイ王女に釘付けとなるなか、二人はエスコートを受けて来賓席に着座した。


「Ladies and gentlemen!!ただいまより、第一回!ハワイ女王杯!真珠湾空戦大会を!!開催致します!!!!」

パチパチパチパチパチパチパチパチ!!


「本大会はラジオ放送で全島にライブ配信されております!!皆様!どうぞラジオの前にお集まりください!!」


ワー!!ワー!!

遠く湾外から演奏等の音が聞こえてくる!真珠湾の盛り上がりは相当の様子だ!!


「本大会の目的は!!ハワイ女王国の空軍力増強と!ポリネシア環太平洋連邦の融和であります!」


「そして!!今大会の賞は!!!特別であります!!アメリカ合衆国のルイ中尉が勝利した暁には!ルイ中尉自らラアヌイ王女に婚約を申込む権利が与えられますゥゥ!!!」


オオオオオオ!!!オオオオオオ!!!

プォオオオオ!!!プォオオオオ!!!

誰が吹いたか甲高いラッパの音が大空に伝播される!!


それに対するワァ!!ハワイ女王国海軍所属の新海少佐ァァ!!王女の護り手として立ち塞がりますゥゥ!!

新海少佐が勝利した暁には!ルイ中尉はハワイ女王に忠誠を誓い!ハワイ女王国に国籍を変えて、女王国軍に転籍することになります!!」


オオオオオオ!!!

プォオオオオ!!!プォオオオオ!!!

甲高いラッパの音が大空に伝播される!!


「それでは!我らが女王!お言葉をお願い致します!!」


女王は指揮台に上がると、高らかに綸言を告げた!


「みなさん、ハワイ女王国の国民となった方々、そして、大日本帝国の方々、アメリカ合衆国の方々、多くの方々がこの真珠湾に集まりました。

ここ真珠湾は、12月8日の大日本帝国の攻撃により、深く傷付いておりましたが、皆が総動員で復旧にあたり、今はその美しさを取り戻しつつあります。」

「そして、この真珠湾は、ハワイの民にとっての真珠湾、真珠の水辺ワイ・モミ(Wai Momi)に戻ろうとしているのです。」

「みなさん、私たちのワイ・モミを護るためには、私たち自身の力が必要です。

現在は、ポリネシア環太平洋連邦の友邦である大日本帝国の方々が力を貸してくれておりますが、もう一人の友邦であるアメリカ合衆国からも力を貸してもらいたいとお願いしたところ、快諾を得られたのです。」


「しかしアメリカ合衆国からは、一つの条件を提示されました。それが、今回戦うアメリカ合衆国陸軍航空軍所属のエースパイロット、ルイ中尉による、ラアヌイ王女の婚約申込みです。聞けばルイ中尉とラアヌイ王女は、以前から知り合いであったとのこと。ルイ中尉が我が国にその身を捧げてくれるのであれば、わたくしもそれに応える義務がありましょう。」


「しかし、ラアヌイ王女はこの国の未来、この国の宝です。易易と婚約を申し込ませる訳にはいきません。そこで我が国のエースと空中戦で一騎打ちをし、勝利した暁には、これを認めることとしたのです。」


「対するは日本の、そして我が国のエースです!アメリカ陸軍のTriple starを単騎で打ち破った類稀なる戦士です!!みなさん!見届けましょう!!そして、どちらが勝つにしても、二人はハワイの為に戦うのです!!ハワイよ永遠なれ!!」


「ハワイよ永遠なれ!!」

「ハワイ!マウロア!!」「ハワイ!マウロア!!」「ハワイ!マウロア!!」


その場が一気に盛り上がるなか、女王が降壇する。


「ありがとうございました。なお、ラアヌイ王女につきましては、今回の賞の性質上、コメントを控えさせていただき、更にご覧のとおりヴェールをしていただきました。」


「さあ!!それでは!!改めて選手紹介をさせていただきます!!ハワイ女王国海軍航空隊所属、新海空少佐!!!!」

新海は規律よいお辞儀で応える。

オオオオオオ!!!ガンバレー!!

プォオオオオ!!!プォオオオオ!!!

シンカイクウ?って言ったっちゃ??ソラっちゃよね?ミドル・ネームかしら?とにかく頑張るっちゃよ!!

王女のヴェールがかすかに揺れる!


「アメリカ陸軍航空軍、第15追撃航空群第45追撃飛行隊所属、ルイ・パルティアーノ中尉!!!」

オオオオオオ!!!ガンバレー!!

プォオオオオ!!!プォオオオオ!!!

ルイ中尉は両手を高らかに掲げると、召喚された軍神が大地に降り立ったかのような後光が差す。

カッコよすぎっちゃ・・・どうしよう・・・

王女のヴェールが僅かに揺れる!


「今大会のルールを申し上げます!!武器は空砲のみ使用!!!判定方法は、ハワイ、日、米、それぞれの審判員3名がハワイ王国旗、アメリカ国旗を持ち、撃墜判定した方の旗を掲げ、同時に二本以上の旗が揚がった方が勝ちとなります!!勝負は一本勝負!!試合開始は、離陸後、戦艦ヤマトの主砲発射が開始の合図となります!!」

オオオオオオ!!!ガンバレー!!

プォオオオオ!!!プォオオオオ!!!!


「それでは二人とも!!搭乗!!!」


二人は女王と王女に敬礼すると颯爽と機体に乗りこむ!!

零式艦上戦闘機は、整備兵がエンジン始動用のエナーシャを機体に差し込み、力一杯回転させ始める!


ヒュゥゥゥヒュゥゥゥヒュゥゥゥヒュゥゥゥヒュゥゥゥヒュゥゥゥ


キュゥゥゥゥゥゥンキュゥゥゥゥゥゥンキュゥゥゥゥゥゥンキュゥゥゥゥゥゥンキュゥゥゥゥゥゥン!

「コンタークト!」

整備兵が叫ぶ!

「コンタークト!」

新海がエンジンスイッチを入れると、栄エンジンが一気に覚醒する!

素晴らしい爆音と共に黒煙が吹き出し、プロペラが空気を切り裂き始める!

P40はスターターでエンジンが始動する。

キキュゥゥゥゥゥゥン!!

バババッバババッ!!!ババババババ!!!

爆音と共に黒煙が吹き出し、プロペラが空気を切り裂き始める!


「準備良いか!!!」


「OK!!双方、離陸せよ!!!」


王女が指揮台に登壇し、スタートフラッグを華麗に振り回す!!!


ババババババババババババババババババババババババ!!!!!

ババババババババババババババババババババババババババババババ!!!!!!!!!!

零式艦上戦闘機とP40はそれぞれ逆向きに走行を始め、離陸を開始!!!


零式艦上戦闘機が先に離陸!!!

続いてP40も少し遅れて離陸!!!双方が真珠湾の猛禽となると、、双方示し合わせたかのようにフルスロットルで高度を上げ始めた!!!

二人の視界は蒼空が占め、地上が小さくなってゆく。

後世に語り継がれる戦いが始まった!!!

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