カーチスP40 lightweight
オアフ島の中央に位置する、ホイラー陸軍航空基地。
現在はハワイ女王国の管理下に置かれ、日本陸軍改め、ハワイ女王国陸軍が厳重に警戒している。
しかし今、立ち並ぶ格納庫の一棟では、破損した数機分のカーチスP40E戦闘機に対してアメリカ陸軍整備兵達が一心不乱に作業を行っていた。
その作業を傍らで見守るのは、金髪長身の男、ルイ・パルティアーノ中尉だ。
整備長が作業を止めて声を掛ける。
「中尉、日本の奴らに許されたのは、破壊されたP40の寄せ集めの修理のみです。これで日本のゼロに勝てるでしょうか」
中尉は鋭い視線を整備長に向ける。
「勝てる。私は今回、ゼロと戦った経験から、ゼロは徹底的に軽量化され、ドッグファイトに特化した戦闘機であることは間違いない。」
「ドッグファイトに特化ですか?それではこの一騎打ち、一撃離脱型のP40では不利では無いですか!」
「もちろん、普通にドッグファイトをすれば不利だろう。しかし・・」
「しかし?」
「不利なのは低中速、低高度でのドッグファイトに限られる。つまり、第一次大戦当時のような、小さい空中機動を繰り返すドッグファイトを想定して作られた機体であり、パイロットもそのような戦闘を想定している訳だ。」
「小さい空中機動・・・ですか。」
「そうだ。小さい回転半径とも言える、相手よりも小さく回り、後ろに付こうという昔ながらの戦法だ。」
「なるほど。では中尉の考える勝利の方法は、ドッグファイトに非ず、ですか?」
ルイ中尉は、よく聞いてくれたとばかりに、その端正なルックスに不敵な笑みを浮かべる。
「いや、それでも私は、そのドッグファイトでゼロを、レイシキカンジョウセントウキをノックアウトする。」
「エッ?!中尉?私には何だか分かりませんぜ!」
「今回は一騎打ちだ。そして相手もP40とは交戦済みで、私と考えは同じだろう。ならば、戦いに勝つには裏の裏を読むのさ。」
ルイ中尉は、胸ポケットからタバコを取り出して咥えると、マッチを擦って火を付ける。
「整備長!今から頼むのはP40Eを徹底的に軽量化させた専用機体、名付けてP40lightweightだ!!外見はそのままで、内部のみ、徹底的に軽量化してくれ!!」
「P40lightweight!!ヒュー!!実戦ではP40の方が速度は上だったのですから、こいつのV-1710液冷V型12気筒エンジンは、ゼロの星型エンジンより性能は上ですからな!重量を落とせば、旋回性能も上がる訳ですな!!」
「その通りだ、それでも旋回性能はゼロに分があるとは思うが、速度を生かすことで勝利が可能となるのさ。頼むぞ!!」
「イエッサー!!お前ら聞いたな!!ルイ中尉の勝利のため!アメリカのため!そして!ハワイのプリンセスに、アメリカのものだと言うことを解らせてやろうではないか!!」
「オウ!!やるぞぉ!!」
「やるぞぉぉ!!」
「いいなぁ、オレも王女と結婚したい・・・」
「誰だ!今言った奴は!!」
「やるぞぉ!!」
「Princess!Princess!Yes, Princess!Princess!Princess!Yes, Princess!」
全員、何故だか分からないが、Princessと叫ぶと力が湧いてくるのであった。
そしてルイ中尉も右手を高々と掲げて高らかに発する!!
「フー!アー!(Hoo-ah)Princess!」
皆が唱和する!!
「フー!アー!Princess!」「フー!アー!!Princess!」
結局のところ、全員がハワイ王女にやられている様子が感じられる、そんなチームアメリカであった。




