4:いちごみるく
信じられるものが出来た世麻に降り注ぐ転機。
注意はありません!
「反組織と言う存在をお前たちは知ってるか?」
いちごみるく
組織に所属している能力者を部屋に集め、先生は重々しく話し始めた。
能力者は年齢、性別もバラバラで、その大半は顔も知らない人が多かった。
「組織の考えを否定し、国自体を変えようとしている者たちだ。
能力者の存在を世界に知らし、能力者が支配をする世界をつくる。
それが、反組織だ。」
能力者が思い思いの事を呟く。
その中にも、反組織の考えを納得する奴もいた。
「そして、その組織が動き始めた。
今までも反組織は国にとって、目障りな行動をとっている。
そこで任務だ。
反組織を潰せ。
反組織にも、組織を抜けた愚か者の能力者がいる。
心してかかれ…!」
反組織…
それは、心を能力に囚われた者たち。
組織…
それは――――……
「今までは、能力や年齢でチームを作り活動していたな。
しかし、能力が進化した今、
この任務を実行するためチームをつくり直す。」
衝撃が走る。
ざわめきが大きくなり、多くの能力者が口々に文句を言う。
「黙れ!!」
シンッと、部屋中が静まりかえる。
「チームを発表する。」
先生は冷たい声で言いはなった。
「まず、音麻。」
音麻と呼ばれた男は、短い髪に筋肉質な体つきが印象的だった。
「次、奈麻。」
奈麻は、背が高く、長い髪で顔を隠した暗そうな女だった。
「羅麻。」
次は背と比例していない痩せた体に、大きな目がギョロついた男だった。
「歌麻。」
明るい髪に、それと同じ位に明るい顔をした女が呼ばれた。
「世麻。」
僕は立ち上がると、今まで付けていたチームバッチを取り、新しい5班のバッチを貰った。
新しいチームで集まる。
どのチームも無言で、嫌な空気が流れた。
どいつも、やっと信じることのできた仲間との別れは納得できなかった。
仲間意識を強めた僕たちに先生はわざとチームをつくり変えたように思った。
「じゃあ、自己紹介でもするか…?」
音麻はよく通る声で話した。
「一番年下から。世麻。」
「へぇ、てっきりそこの暗い奴が一番下かと思ってた。」
歌麻は羅麻を指差すとわざとらしい笑みを浮かべた。
「世麻。年は15。能力は発火。」
歌麻の声を無視して僕が話すと、
奈麻は小さくビクついた。
「次、羅麻。」
「あ…あ、の…。」
羅麻は言葉を詰まらせ、なかなか話し出さない。
「…ムカつく。」
僕は思わずそう言っていた。
羅麻は怯むと下を向いて話さなくなった。
「まぁ、そんな事言うなよ。」
音麻は面倒見が良いのだろう。
僕をなだめると羅麻に根気よく話しかけていた。
そんな光景を楽しそうに歌麻は見つめていた。
「え…っと。羅麻です…。歳は17で、能力は結界です…。」
17に見えないほど、固まっている羅麻を僕は鼻で笑った。
ギョロついた目が泳ぐ。
こんな奴が能力者だなんて皮肉だ。
そう思わずにはいられなかった。
「次、あたしね。歌麻でーす!
歳はね、羅麻と同じく17歳ね。能力はマリオネット。
人を操り人形みたいに操れるんだよ。凄いでしょ!」
歌麻は明るく話すと、満面の笑みでメンバー一人ひとりと握手しはじめた。
「はい、握手!」
僕は手を差し出した歌麻の手を無視した。
すると歌麻は無理やり僕の手を握った。
「な…奈麻で、す。歳は19で、能力は、治癒です…。」
僕は、怯えるように話す奈麻に少しイラつきながら奈麻を睨んだ。
「じゃ、最後は俺だな。名は音麻。歳は21で、能力は怪力だ。」
思わずため息が出る。
能力者のくせして、普通の人間と変わらない接し方で僕に接してくる。
幼い頃から人の暖かさなんて知らなかったけど、
幼いながらに考えた想像の人は音麻のような人だった。
調子が狂う。
このチームでやっていけるのだろうか。
そう思わずにはいられなかった。
「はぁ…。」
ベッドに横になり、ため息をついた。
「なぁにため息ついてんの?」
「っ!」
いきなり聞こえた声に驚いて、勢いよく起き上がった。
そこには歌麻がいた。
「気配もなく入ってくるな。ここは僕の部屋だ。」
歌麻はイタズラっぽく笑うと、僕に手を差し出した。
「ねぇ、手、出して。」
「は?」
しばらく沈黙が続いた。
その空気にうんざりした僕は手を差し出した。
歌麻はその僕の手に飴玉を置いた。
「…なに?」
「あのさ、疲れた時には甘いものだよ。
あたしたちって、普通の生活はできないじゃん?
今日だって、せっかくできた仲間と別れたし、人を信じることはできない。
笑う事だってできる人は少ないでしょ?」
「だからなんだよ。」
「アンタだって笑えない人なんでしょ?
だったらあたしが変わりに笑ってあげる。
笑顔ってつられるものだよ。
だからいつか、あたしにつられて笑えるようにあたしが笑うの。」
歌麻は寂しそうな顔をした。
「甘いもの食べて、ちょっとでもリラックスしてね。」
歌麻はそう言うと部屋から出て行った。
笑えば他の人と変わらない事ができることがあるかも知れない。
笑うことを忘れた僕には、歌麻の言う事が分からなかった。
それでも、もう一度笑ってみたい。
そう思った。
「あま…。」
飴玉を口にほうると、口にイチゴが広がった。
この飴こそが歌麻そのものだと思う。
甘ったるくて、ホントにどいつも調子が狂う。
甘い、甘いこのチームで僕は生きていく。
新しいチームで活動する世麻たち。
それぞれが不安を抱え、歩いて行きます!
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