第9話 チキン南蛮と、迫りくる毛玉
今日は、宇宙船で、
清掃作業と、コロニーの塗装作業を行った。
ここ最近、
少しずつ増えてきている仕事で、
試しに、引き受けてみた。
作業は、一区切り。
宇宙船を自動運転にして、
ひと息つく。
ソファーにだらりと横になり、
天井を見つめていると――
空気が、変わった。
視界の端で、
巨大な影が、迫ってくる。
ふごふご……
という、獣のような音。
大きな、黒い瞳が、
こちらを、じっと見ていた。
……逃げ場はない。
世界が、
毛に覆われる。
くーちゃんだった。
顔を、ぺろぺろ、舐められる。
「こら」
捕まえようとした瞬間、
くーちゃんは、
慣性重力を使って、
ぴゅーっと、宙に逃げていった。
そこで、
俺の腹が鳴った。
……あ。
そういえば、と思い出す。
***
昨日、
スペースポートの店を、
ぶらぶら見ていたときのことだ。
カフェみたいな店舗の前で、
白い制服のお姉さんが、
お弁当を売っていた。
並んでいるのは、
グラタン、
カキフライ、
ローストビーフ。
どれも、
なかなか、豪華だ。
その中で、
チキン南蛮の弁当が、
妙に気になった。
タルタルソースが、
やけに、美味しそうな色をしている。
それを、
買うことにした。
「よかったら、
袋にまとめましょうか?」
俺の、別の買い物袋を見て、
そう声をかけてくれる。
テキパキしていて、
要領の良いお姉さんだった。
***
お弁当を、
温め直して、
机で食べる。
ジューシーな肉に、
たっぷりのタルタル。
……美味い。
そのとき――
ぴゅーっ、と、
何かが、飛んできた。
慣性重力を使って、
くーちゃんが、一直線。
弁当に、
突っ込んできそうだったので、
慌てて、キャッチする。
また、
顔を、ぺろぺろ。
「……わかった、わかった。
降参だ」
冷蔵庫を開けて、
くーちゃんの好きな、
さつまいもスティックを取り出す。
差し出すと、
夢中で、食べはじめた。
食べ終わると、
「きゅーん」
行儀よく、
おすわり。
……わかった。
もう、一個だけな。
そんなふうにして、
今日も、
平和に過ぎていった。
明日は、休みだ。
ゆっくり、過ごそう。
そう思いながら、
宇宙船は、静かに進んでいた。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
くーちゃんとの宇宙船の日常を、
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また次のごはんの時間に、
ふらっと遊びに来てください♪




