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第10話 チャーハンと、怖がりなポメラニアン

 今日は、宇宙船でコロニーの清掃作業をしている。

 作業は、一区切り。

 あとは、宇宙船の自動運転に任せておけば大丈夫だ。


 椅子でくつろいで、伸びをする。


 そこへ、

 クリーム色の毛玉が、ふわりと漂ってきた。


 くーちゃんだった。


 犬かきをするみたいに、

 ゆっくり。

 慣性重力に流されて、ふわふわ進んでいく。


 ……少し、毛が伸びてきてるかな。


 そんなことを思ったところで、

 俺の腹が鳴った。


「……あ」


 そういえば、と思い出す。


***


 昨夜、

 スペーステレビを眺めていた。


 芸能人が、

 高級食材の料理をちゃんと当てられるか、

 格付けし合う番組がやっていた。


 メガネの、

 アーティスト風の男性が、

 連続で当てていて、

 スタジオは盛り上がっていた。


 でも最後に、

 チャーハンだけは、外していた。


 そのチャーハンは、

 高級料理店のものじゃなかった。


 アフロの大御所芸人が、

 手料理で作ったチャーハン。


 カメラに映ったとき、

 やけに美味しそうだった。


***


 そういえば、

 冷凍チャーハンがあったな。


 久々に、

 料理をすることにした。


 コンロに火をつけて、

 フライパンを温める。


 冷凍チャーハンを入れて、

 炒める。


 醤油を少し。

 胡椒も少し。

 それから、甘口の焼肉ソースも、ちょっとだけ。


 ……合うのかは、知らない。


 炒めながら、

 ふと、くーちゃんが気になった。


 目をやると、

 くーちゃんは床に、ぺたんとお腹をつけて、

 じっ、とこっちを見ていた。


 前足のたたみ方が、なぜか横向きで、

 解説者が座っているみたいだな、と思う。


「……見てても何も出ないぞ」


 言っても、

 くーちゃんは、目を逸らさない。


 料理が出来上がる頃、

 煙が、部屋に充満しはじめた。


 ……しまった。


 換気扇を、つけ忘れていた。


 そう思ったときには遅く、

 火災警報のアラームが鳴った。


 ウィンウィン!

 ウィンウィン!


 けたたましい音。


 慌てて火を消して、

 換気扇をつける。


 でも、すぐには止まらない。


 ウィンウィン!

 ウィンウィン!


 くーちゃんが、怖がって、俺のところへ来た。


 必死に、すがりつくみたいに。

 体が、小さく震えている。


「……悪かった。怖がらせたな」


 抱き寄せて、

 背中を撫でる。


 大丈夫だ、と言い聞かせるみたいに、

 何度も撫でる。


 くーちゃんは、

 それでも、しばらく震えていた。


 やがて、

 アラームが鳴りやむ。


 ようやく、静かになった。


「……よし」


 一安心して、

 皿に盛ったチャーハンを机に置く。


 食べてみると、

 思ったより、普通に美味かった。


 ……焼肉ソース、意外と悪くない。


 くーちゃんは、

 まだ少し落ち着かないのか、

 俺の近くから離れない。


 今日は、

 くーちゃんと一緒に寝ることにした。


 温かみを感じながら、

 意識が、ゆっくり落ちていく。


 明日は、

 平和に、ゆっくり過ごそう。


 そう思った。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


くーちゃんとの宇宙船の日常を、

少しでも「いいな」と思っていただけたら、

評価やブックマークで応援していただけると嬉しいです。


また次のごはんの時間に、

ふらっと遊びに来てください♪

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