第2話 キツネうどんじゃなかった日
浄化作業は、自動に任せていた。
船内は静かで、警告音も鳴っていない。
待ち時間、というやつだ。
操縦席の前を、
クリーム色の毛玉が、ふわりと流れてきた。
くーちゃんだった。
無重量のせいか、
泳ぐみたいに、ゆっくり。
俺の目の前を通り過ぎて、
そのまま、ぽん、と着地する。
向かった先は、クッション。
顔を、ぐいっと埋めて、
そのまま、寝そべった。
耳が少し立っていて、
正面からみると、キツネみたいだった。
……似てるな、と思ったところで、
俺の腹が鳴った。
「……あ」
そういえば、と思い出す。
***
仕事に入る前、
スペースポートのスーパーに寄った。
新年だし、
何かあったかいものを、と思って。
いつもは、キツネうどんを買う。
でも、その日は、
隣に並んでいた、かき揚げうどんが目に入った。
たまには、いいか。
そう思って、そっちを取った。
レジにいたのは、
年配のおばさんだった。
「寒いですね」
そう言われて、
「そうですね」と返す。
よく見ると、
ダイヤ柄の、黒いコート。
少し薄くて、
たしかに寒そうだった。
***
冷蔵庫を開けて、
かき揚げうどんを取り出す。
ポッドから、
お湯を注ぐ。
テーブルに置いて、
椅子に座ると、
くーちゃんが足元にやってきた。
一度、
くるっと一周して、
そのまま、元のクッションへ戻る。
「ああ……興味なし、か」
スペーステレビをつけて、
うどんを食べる。
ニュースは、新年の話題。
遠い星の、カウントダウン。
食べ終わりかけに、
ふと視線を上げると、
くーちゃんが、クッションの上で、
さっきと同じポーズで、こっちを見ていた。
やっぱり、
キツネうどんのほうが、よかったな。
くーちゃんが、
眠そうにあくびをした。
今日の一日は、
特に変わらない一日だった。
でも――
今日は、これでいい。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
くーちゃんとの宇宙船の日常を、
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また次のごはんの時間に、
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