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いつから俺の青春が『普通』だと思っていた?  作者: 結城 ユウキ
第4章 青春の分水嶺

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第35話

「なんでそんな大事なことを言わないんだよ! 補欠になったことすら知らないなんてそれもう補欠の意味ないだろ!」

「おお……立野くんが珍しく声を荒げている……」


 とどのつまり俺と旭丘は、二人ともいない間にこの種目の補欠にさせられ、あまつさえそのことを当日まで知らされていなかったのである。


 小竹先生も担任だから知っていたのに、それを伝えていなかった。朝の変な態度はこれのことだったのだ。絶対にわざとだろ、あの人。


 湊と知佳もそうだ。いくらでも言える機会があったはずなのにどうして言わない。


 これが終わったら保健室にカチコミに行ってやる。


 そんな悪態をついても、時間は無情にも過ぎていく。


 俺と旭丘は、すでに入場門に待機させられている。


「というかなんであの二人がアンカーなんだよ……。普通三年生だろ……」


 ただの代打だと言うならまだ納得する。だがあの二人はこの目玉種目でアンカーなどとという大役を担っていたのだ。


 横を見ればどの色のチームもアンカーは三年生。正直かなり場違いだ。


「ほら、あの二人ってどの学年からも人気だし、お似合いだから……」


 確かにあの二人が並ぶとなんというかもうオーラから違うのだ。おまけに顔も良いので、あの二人の人気はとてつもない。


 その代役として、旭丘はぴったりだろう。話題性、能力、容姿。どれをとってもあの二人と遜色はない。


 問題は俺だ。


 自分で言いたくはないが、ただのモブである。知らない生徒のほうが圧倒的に多い、一般生徒Aなのだ。


 そんなやつが湊と知佳の代わりに旭丘とペアを組んで走る? 冗談じゃない。


「嫌すぎる……」


 生徒会に入ってしまったから、多少目立つのは仕方ない。


 だが、これは違う。絶対に違う。


 あまりに目立ちすぎる。


「いつまでもグダグタ言わないの。男の子でしょ」

「性別関係ないだろ。というか、なんでお前はそこまで覚悟決まってるんだ?」

「え? だって楽しそうじゃない」


 この運動ジャンキーめ……。


 けれど確かに、旭丘の言う通り。


 補欠に選ばれているからには逃れようがないし、なによりもう始まってしまうのだ。


 ただ一つ、懸念点があるとすれば――。


「俺、見えるんだ。見事にすっ転んで、膝を擦りむく姿がさ」


 だってそうだ。こっちは普段まともに運動していない上に、二人三脚の練習なんてしていない。そんなの、怪我するに決まっている。


 長ズボンを履いてこそいるがこれはただの布。守ってくれるわけじゃない。


「大丈夫よ」


 ふと隣から、自身に満ち溢れた声が聞こえた。


「あなたは怪我しない。だって、私がいるもの」


 旭丘が髪を一つにまとめながら、そう言ってのける。


「か、かっけえ……。俺、一生ついていく」


 なんか本当に大丈夫な気がしてきた。俺、怪我しないかも。


「馬鹿言ってないで、入場始まるわよ」


 そして始まってしまった。なんの準備もしていない、怪我必至の二人三脚リレーが。



 

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