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いつから俺の青春が『普通』だと思っていた?  作者: 結城 ユウキ
第2章 行事に波乱はつきもの

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第17話

  それから一、二時間ほどで種目やルール決めが終わり、バスケットボールやサッカーなど一般的なスポーツが選ばれた。二年生男子はサッカーとバスケットボール、二年生女子はバスケットボールとドッジボールをやることになったらしい。


 俺は適当に出てさっさと交代して終わりだが、旭丘はそうはいかないだろう。きっとどちらの種目にも出るはずだ。


 教室の片付けを行っていた旭丘に声を掛ける。


「球技大会、どっちも出るんだろ?」

「そうね、どっちも出たい。でも、生徒会のこともあるし……」

「いいからやりたいようにやれって。それに、知佳と組んでバスケするお前も見たいし」


 そう言うと、旭丘の顔色が一気に悪くなる。


「そ、そうよね三原さんとチーム組むのよね……。私どうしたらいい……?」

「それは知らん」


 旭丘は一度公衆の面前で次期部長の呼び声高い知佳を一対一でボコボコにしている。クラスが同じなのにあれ以来話している二人を見ていないし、それはそれは気まずいだろうが、自分で蒔いた種なのだから自分でどうにかしてほしい。見てるこちらとしては面白いことこの上ないが。


 旭丘をからかい終わり片付けに戻ったところで、机を運び終わった湊と目が合った。実行委員の殆どが帰った中で、湊は率先して片付けをやってくれている。そういうところが、この男が信頼信用される所以なのだろうと俺は勝手に思っている。


「お疲れ、彩人」

「湊もお疲れ。実行委員、大丈夫そうか?」

「全然問題ないよ。知佳もいるし、他に知り合いも結構いるからね」

「さすが、サッカー部のエースは違うね」

「やめてよ恥ずかしい」


 謙遜こそしているが、今日の実行委員でも本当に色々な人から話しかけられていた。同級生を始め先輩後輩別け隔てなくだ。どんな絡まれ方をしていても、湊は笑顔で対応していた。俺には到底真似できない。


「今日も部活か?」

「うん、もう時間あんまりないけどとりあえず顔出してくるよ」

「偉いな。俺だったら絶対サボる」

「こういうパフォーマンスも大事なんだよ」


 なんて冗談を言いながら、湊は颯爽と部活に向かった。部活に行くだけでこんなに爽やかなのか、こいつは……。


 そんな湊を見送り、教室の片付けを終えて廊下に出ると、見知らぬ女子生徒に呼び止められた。


「すみません!」


 声を聞こえた方を振り返ると、毛先にパーマのかかった茶髪の女子生徒が立っていた。上履きの色を見るに一年生、後輩だ。


「なんか用か? というか、誰だ……?」

「春日莉桜ですよ! さっきの実行委員会で自己紹介しましたけど!?」

「そんなん一発で覚えられるわけないだろ。会長じゃあるまいし」

「それもそうか……じゃなくて! 用があってお声がけしたんです!」


 小柄な体躯で可愛らしい挙動をしながら春日は訴えてきた。こいつ結構あざといな……。


「先輩って早宮先輩と仲良いんですか?」

「まあ、胸張って友達と言えるくらいには」

「じゃあ早宮先輩に彼女いるとかってわかります?」


 ああ、こういう感じか。


 安っぽい言い方をすれば湊のファンといったところだろう。


 今までもこういう奴らはたくさん見かけてきた。自分で湊に声をかける勇気はないので、代わりに俺に聞くという奴らだ。


 だから扱いも慣れている。


「さあ、知らないな。ただ少なくとも、そんなことも本人に直接聞けないようなやつを、あいつは相手にしないとだけ言っておくよ」


 ここまで言えば、大抵の女子は俺に嫌悪感を覚えて勝手に消えてくれる。ついでに自分の浅はかさにも気づいてくれて一石二鳥というわけだ。まあ、気づかないやつが大半だが。


 この春日という女子生徒もそうなるだろうと思っていた。


 だが、目の前の少女は俺の予想に反して、


「うーん、やっぱりそうですよね。じゃあ次かな……」


 そう言ってのけたのである。


 次ってなんだ、次って。


 春日の言葉を理解できない俺が頭を傾げていると、春日は笑って口を開いた。


「ああいや、なんでもないですこっちの話です。お時間いただきありがとうございました! 失礼します!」


 そう言って彼女はまた可愛らしくお辞儀をし、俺の前から去っていった。


「なんだったんだ……」


 湊のファンかと思いきや、どうやらそんな感じでもないらしい。むしろこちらの回答を予想していたとも思える反応で、それを確かめに来たのかと思うくらいだ。


 初めて会って話したが、やけに印象に残る、そんな後輩だった。


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