↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
醜くいと捨てられた私は社交界一の放蕩者に求婚された  作者: みみぢあん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
77/80

77話 騎士の夫

 仲良く朝食を終えると私たちは玄関ホールへ行く。

 ベルナール様は執事が用意した魔剣と剣帯を受け取り、その場で腰に装着する。


 そんな姿を眺めながら、何気なく私は素人らしい感想を言った。



「見ればみるほど、立派な剣ですね。それに重そうだわ」

「ああ、うん。対人戦用の通常の剣よりも、この対魔獣戦用の魔剣は一回り大きく、刃も幅広で分厚いからね」


「まぁ、そうなのですか?」

(そんなに大きな違いがあるとは知らなかった!)


「私ぐらいの体格で腕力が無ければ、とても振り回せない大きさの剣なんだ」

 

 魔法が使えれば誰でも魔剣を使えると言う訳ではないようだ。


「……確かに。数日前に見た騎士様の剣に比べると、とても大きいわ」

(私の旦那様は、もしかして……スゴイ人なのかしら?)


 私は思わず腰に下げた魔剣を、誇らしげに触れるベルナール様に尊敬の眼差しを向けた。


「だから王都でこれほどの豪剣を下げていると。同じ騎士の中でも、目立ってしまうのが難点なんだ」

「まぁ! そういう悩みが出てくるのですね」


「うん。でも実家のウォンボーン公爵家が所有する家宝というだけあって。嫡流の血を持つ私の魔法と相性が良いんだ。例えば攻撃魔法を放つときも、発動からほとんど時間差が無くて。一連の動作がスムーズに進むから……」


 ベルナール様は騎士らしく、嬉々とした表情で剣についてペラペラと語り始めた。


「ふふふっ……素敵だわ」

(こんなに生き生きとした姿を見せてくれるなんて。きっとベルナール様は騎士という職業が、とても好きなのね)


 以前、ベルナール様に自分は騎士だと言われたときも、あまりピンッと来なかったけれど。

 今の顔を見ていると、放蕩者のベルナール様よりも。騎士のベルナール様の方がずっとしっくりくる。


 ──騎士と言えば。


「留守中にあまりにも心配で……お母様と一緒にベルナール様の行方を知りたくて、王立騎士団へ聞きに行ったのですが」

「んん? 騎士団へ行ったの?」


「ええ、二週間の予定だと聞いたのに。一ヶ月経っても帰って来ないから……第一から第三まである王立騎士団の本部へ行き、ベルナール様の安否(あんぴ)をたずね回ったのです」


 でもベルナール・カザートンが騎士団に在籍していると確認できず。


 それどころか心無い言葉で『どうせ愛人の家に入り浸(びた)っているのだろう』と。

 ベルナール様の妻だというだけで、私は侮辱されまともに相手をされなかった。


 ベルナール様の実家のウォンボーン公爵家にも、助力を求めて訪問したのだが。王立騎士団ほど無礼ではなかったけれど。

 義両親と義兄から似たような反応が返って来たことは、ベルナール様には伝えず、私の胸に秘めておくことにした。



「ああ……昨夜も話したけど。私の所属する場所は相手に気づかれないよう、秘密裏に捜査する手法を取っているから。騎士団の中でも上層部の者にしか、存在を明かされていないんだ」


「だから他の騎士団に所属する一般の騎士様たちは、知らなかったのですね?」


「うん、すまない。君が心配するとわかっていたけど……そんな苦労までかけていたとは、思わなかった」

「いいえ。今は無事に帰って来てくれただけで良かったわ」


 犯罪者たちを捕縛するのが忙しくて、ベルナール様は手紙の一つさえ書くヒマが無かったそうだ。


「嫌な思いをさせてすまなかった、レオニー」

「理由がわかれば、それで良いわ」


 私は手をのばし……後悔で暗く陰ってしまった、ベルナール様の目に掛かる前髪を指先で払ってやる。愛情を込めて頬を手のひらで包んだ。


「レオニー、本当に怒ってない?」

「ええ。ベルナール様が悪いわけではないのでしょう?」


 ベルナール様は自分の頬に触れる私の手に、大きな手を重ねた。


「愛しているよ、レオニー。寛容(かんよう)で理解のある良い妻を持って幸せだよ」

「私も幸せです。ベルナール様、愛してます……」


 胸の奥から愛情が込みあげて来て、私は背伸びをしてベルナール様の顎にキスをした。

 私をギュッと抱きしめて、ベルナール様は熱烈なキスを唇に返してくれる。



「ところでレオニー。君を侮辱した第一、第二騎士団のゲス野郎は誰だかわかるかな?」



 ベルナール様の深い紺色の瞳がギラギラと光る。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。