↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
醜くて吐きそうだと捨てられた私は社交界一のモテ男に求婚された  作者: みみぢあん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
37/71

37話 初夜



 婚姻の儀式を終えた私たちは、ウォンボーン公爵家の別邸で初夜を迎えることになっていた。



「私の方はたいした準備は無かったけれど。花嫁の君は朝から大変だったね。お疲れ様、レオニー」


 ニコリと笑ってベルナール様がねぎらってくれる。


 私たちは真新しい寝衣しんいに着替え、寝室を飾る純白の花から放たれたふんわりと甘い香りの中にいた。


「お疲れ様でした、ベルナール様。無事に終わってホッとしましたね。ふふふっ……」

(私にとって一番、心配だった『誓いのキス』が問題なく終われたことが奇跡だわ! やっぱりベルナール様は誰でも平等に愛せる、博愛主義なのかしら?) 

 

 新婚の甘い雰囲気ムードを演出するために薄暗くされた室内で。

 仲よくベルナール様と並んでベッドに腰をおろし蜂蜜酒ミードを飲んだ。


 私はまだ成人したばかりだから。手の中のゴブレットに注がれた蜂蜜酒ミードが、生まれて初めて飲んだお酒だった。


 飲んだとたんに身体が熱くなり、これがお酒に酔うという現象なのだと知った。


「何だかフワフワとした不思議な気分だわ……」

(ベルナール様と知り合ってから、舞踏会で踊ったワルツを皮切りに、初めての体験を次々としているわ。これが大人になるということかしら?)


 ベルナール様はベッドサイドのチェストの上に、蜂蜜酒を飲み終えたゴブレットをコトッと音を立てて置く。


 私も残りの蜂蜜酒を飲み干すと、ベルナール様は私の手の中から空のゴブレットを取る。先に置いた自分のゴブレットと並べて置いた。


「レオニー、今夜はゆっくり眠ると良いよ」

「ふふふっ……白い結婚ですね?」


 私はフワフワとした良い気分のまま、ニッコリと笑いベルナール様に答えると……


「……んん?」

 ベルナール様は動きをピタリと止めて、私の顔をマジマジと見る。


「この結婚は白い結婚だと、私は承知していますから」


「……何だって⁉」

 ベルナール様が驚愕の表情を浮かべて、私の顔をジッと見つめる。


 お母様に『初夜にメガネは必要無い』と反対されたけれど。

 ベルナール様以外の人に姿をさらすことのない寝室でのことだから。

 儀式の時とは違い、今の私は普段通りに分厚い眼鏡をかけている。


 だから薄暗い室内でもベルナール様の顔が何となくわかるけど。


 ──なぜか私の考えを探るような、困惑した表情に見えた。 


「レオニー……今、何と言った⁉」

「ベルナール様がここで夫の義務を果たす気がないことを、私も承知していますから」


 私は気まずい思いをしないよう、ベルナール様にニコニコと笑いながら答えると。

 なぜかベルナールは戸惑っているようだ。


「初夜の花嫁にしては……そんなに衝撃的な言葉を、君はずいぶんとあっさり口に出すんだね?」

「覚悟はできていますから」


「君は私に不満は無いのか? 何も聞かなくて良いのか? 君がこの結婚を白い結婚だと思っているなら。私ともっと話し合うことが、あるとは思わないのかな?」


 さっきまでとは打って変わって、どことなく不機嫌そうなベルナール様。


「不満もありませんし、聞かなくてもわかります」

「聞かなくても?」


「ベルナール様が私を妻に選んだのは、お飾りの妻が必要だったからでしょう?」

(結婚前はさすがに『放蕩者のアナタと結婚するのだから、私にはそれなりの覚悟があります』とは言えなかったけれど。今なら言えるわ)


「レオニー……」 


「心配しないで下さいベルナール様」

「……私が何の心配をすると言うんだい?」


 ベルナール様の表情が何とも言えない渋い顔になったから、私は安心させようと『大丈夫ですよ』と満面の笑みを浮かべた。

 主君に忠誠を誓う騎士のしぐさを真似て、自分の胸に手を当てて答えた。


 ある意味、私もベルナール様に忠誠を誓うようなものだから。今の話にはぴったりのしぐさだと思う。


「私は一生、白い結婚のままでも結構です。ある日突然、ベルナール様が隠し子を連れて来てもです。私は愛情を持ってベルナール様の子を育てる自信もありますから」


(子供は大好きだわ。できれば私自身の子供も欲しいけど…… そんな我がままは言えないもの) 


「君がそこまで考えているとは思わなかったよ」

「私はあなたの味方なのだと、とうか忘れないで下さい」


 私が誠心誠意、心をを込めて伝えると。


 ハァ――……とため息をつき、ベルナール様は私から視線をそらして苦笑する。



「私はベルナール様にとって良い妻になりたいから。あなたを愛したり、見苦しく愛を求めて泣いたりしません」


(あれ? 思っていた反応と違うわ。私がハッキリ言い過ぎて、ベルナール様のプライドを傷つけてしまったかしら?)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。