第21話 由利と勇馬
〔由利〕18:40…
私は今、とても緊張している。そう、私の隣には中井先輩がいるからだ。
しかも2人きりで、いつもはお互い制服を着ているが、私は浴衣で、先輩は私服。初デートでこんなレベルの高いのなんて、私には早すぎる、
あーもう少し恋愛経験積んでおけばよかったー…
そう後悔していると、中井先輩が声をかけて来た。
勇馬「由利、あ、いや、あまのさん!」
由利「いえ、由利でいいです、今 良山先輩いないので、」
勇馬「そう、じゃあ由利!その…浴衣…似合うよ…。」
っと、中井先輩は目線をそらしてはずかしそうに言った。私はその姿に心をうばわれた。
由利「あ、ありがとうございます…!そ、その…中井先輩のその格好もステキだと思います!…、」
勇馬「!、あ、ありがとう…、」
私はとっさにほめてみたけど、話が続かなかった、
そしてさっきから色んな人に見られてる気がする、中には隣に彼女らしき人がいるのに、私たちに見惚れてる彼氏さんがいた。
すると、近くから誰かに話しかけられた。
女子A「中井くーん!」
勇馬「ん、Aじゃん!やっほ〜!」
女子B「ちょっと待って、A〜!あ!中井くんがいる!」
勇馬「B先輩!こんばんは!」
女子A「まさかここで中井くんに会えるなんて〜!!」
由利「…」
私は中井先輩と、おそらく同級生と先輩との会話を見ていて、すごく不思議な気持ちになった、2人と話してる中井先輩はとても楽しそうだった、
由利(…これは…嫉妬?)
今まで嫉妬なんて経験したことないのに、この瞬間、中井先輩に対してやきもちを妬いた。
由利(中井先輩、とても楽しそう…、そうだよね、臆病で1人じゃ何もできない私、きっと中井先輩には私より好きな人なんているだろうう…、)
そう考えていると、デートしている意味がない気がしてもうここから立ち去りたいと思った、私は中井先輩に近づいて、
由利「中井先輩、私もう帰ります、」
勇馬「そうだね、早く行こ……え?」
そう言って私は反対側へ歩いた、
勇馬「え!?ちょっ由利!?」
中井先輩は私の方へ追いかけて来た。
女子A「あの人、中井くんの彼女?」
女子B「なんか関係悪そうだし、もうすぐ別れるんじゃない?」
女子A「それだったら嬉しいかも!」
気がつくと、私の嫉妬は怒りに変わった。
勇馬「由利、どうしたの?」
由利「何でもないです、」
勇馬「もしかして怒ってる?」
由利「怒ってないです、」
私はじょじょに足を速くした、中井先輩も私に合わせて走った。
走っている間、私が中井先輩を好きになったことを思い出し、笑顔、優しい言葉、それらを思いかえした、けど今は、私ではなく、他の女子に向けてた、そんなことが悔しくて、悲しかった、
由利「きゃ!」
気がつくと、つま先が小石にあたり、転びそうになった、
勇馬「あぶない!」
中井先輩はとっさに転びそうになった私を支えてくれた、しかし、ありがとうという言葉はでなかった、
由利「私のことなんかほっといてください!」
勇馬「由利…急にどうしたんだよ…。」
私のことを分かってくれない中井先輩に、私はついに怒りをぶつけた、
由利「どうして分かってくれないんですか!せっかくの初デートなのに…中井先輩は私のことをほったらかして他の女の子と楽しく話してて…私のことなんかどうでもいいんですよね、」
勇馬「!、ちがう!おれは…、」
由利「何がちがうですか!私はこうやって傷ついているのに!」
気がつくと私の目から涙があふれていた、何とか止めたかったが、怒りや悲しみがあふれ、止めることができなかった、
勇馬「おれはただ、由利の姿に緊張しただけで…、」
由利「私の姿を見て緊張してて、他の女の子見て緊張がほぐれたのですか?」
勇馬「違う!あの2人はおれの同級生と先輩で…、」
由利「とにかく、私は帰ります、」
勇馬「待って!」
私はまた歩き始めると、中井先輩が私の手をにぎってきた。中井先輩は真剣な表情をすると、
勇馬「ちゃんと話したい、嫌なら帰っていいけど…どっちがいい?」
由利「中井先輩…。」
中井先輩の冷静さに私も冷静さを取り戻した。今、このまま帰ってしまうとこれら先、中井先輩と上手く関われなくなり、せっかく築きあげた関係がなくなってしまうだろう。さらに、せっかく協力してくれた希奈にも申しわけない、中井先輩とけんかしたなんて報告したら、希奈がどんな顔をするだろうか、
だから今から中井先輩と話した方が、中井先輩と希奈のためになるだろう。
由利「私も話したいです…、」
勇馬「ありがとう、じゃああそこの公園で話そうか、」
気がつくと、花火大会会場の神社からだいぶ離れていた、
由利(すみません中井先輩…、)
私のせいでだいぶ離れてしまったことを心の中で謝りながら、公園に入った、
つづく…




