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独白(前編)

最初は、ただの“変な奴”だと思った。

「皆おはよー!」

朝からやたらと元気な声が、教室中に広がる。

「昨日の数学の内容覚えた?今日テストあるけど。」

「なんも書いてない」「昨日休みだった〜」「この因数分解のやり方が分からなくて…」

「仕方ない奴らだな…君らにはこのノートを写させてあげよう!因数分解は朝のホームルーム終わったら教えるよ!」

「「「ありがとう内海君〜!」」」

「いえいえ。」

転校間もないと言うのに、そんな風に誰にでも話しかけて笑顔を振り撒いている。

クラスの中心という訳では無い。

ただ、いつも誰かの隣に寄り添っている。

そういう奴だった。

そして、

「月城さんも、おはよ!」

私にも、同じ。

「……おはよ」

素っ気なく対応しても

「あれ、眠い?なら授業まで寝てな!始まったら起こすから!」

「…そういうのじゃないから!」

他の奴らならご機嫌取りをしてくるような時でも、内海は変わらず接してくる。

「ムカつくなぁ…」

こいつが転校して来てからの私は、どこかヘンだった。


――私、月城深愛は誰かの特別になる事が大好きな人間だ。

今でも変わらないが、あの頃は思春期も相まって歪んでいた。だからクラス全員の特別になろうとした。

皆の特別になるためなら、努力なんて苦でもなかった。

勉強も、運動も、人付き合いも、お洒落も、ひたすらに勉強した。

どう振る舞えば好かれるか、どう笑えば印象がいいか、全部計算した。

そんな私がクラスの輪の真ん中にいるのは当然だった。

誰もが私を見る。

誰もが私を求める。

それが当たり前だったのに、内海が転校してきた。


「ねぇ、一緒に帰らない?内海君の家と私の家、5分しか違わないんだよ!」

「ごめん、今日先約あるから!」

「そっか…じゃあ、また明日ね!」


「文化祭一緒に回らない?」

「いいよ!他の奴らも一緒だから楽しくなるな!」

「そう…なんだ。ごめん、やっぱりいいや。」


「修学旅行の班、同じ班がいいなと思ったんだけど…」

「俺らのとこは全員決まっちゃったけど、月城さんならどこでも歓迎だと思うよ!」

「あ、あはは…そうだといいな…」


誰にでも同じ距離感、温度感。

私含めて。

こんな経験は初めてだった。


学校のどこでも内海は変わらなかった。

一度聞いたことがある。

「内海君って、どうしていつも変わらないの?」

「変わらないって?」

「普通は、好きな人とか嫌いな人とか、どうでもいい人とかで対応の仕方が変わるでしょ?」

「……後悔したくないから…かなぁ?」

「後悔…したくない?」

「そ!俺にも勿論好き嫌いはあるけど、それを理由に扱いを変えたらいつかそれが裏返った時に後悔すると思うんだ。それが嫌でさ。

好きも嫌いもどうでもいいも、ずっとそのままって事はないと思うから。」

恥ずかしげもなくそういう彼の顔が、これまで自分の思い通りに過ごしてきた私には、とても眩しく見えたのに目が離せなかった。

気持ちを自覚するのに時間はかからなかった。

そこからは流石の私。

誰にでも同じ対応をするなら、誰よりも早く行動に移せばいい。

誰よりも会話をするために近づく。

同じ部活にマネージャーとして入り、同じ時間を過ごす。

登校してから直ぐに帰りの約束を取り付ける。

少しずつ距離を詰めていく。

「今日も一緒に帰ろ!」

「お、いいよ。」

「……」

でも。

いつまで経っても変わらない。

私の魅力が足りないんじゃない。

誰にでも同じなんだ。

「…つまらない。」

「ん?何が?」

「別に。なんでもない。」

イライラする。

でもそれ以上に、どうしようもなく欲してしまう。

私だけを見てほしい。

君の特別になりたい。

私の特別は君なのに、君の特別が私じゃないのは不公平だよね?

分かってる。

これはワガママだ。

でも、欲しいのだから手に入れる。

どうすればいいのかは分かっている。

私のやり方は間違っていない。今までだってそうだったのだから。

そのはず、だったのに。

前後編にする予定はなかったんです…思ったより長引いてしまった〜!まだ過去編の話はストックがあるのでこれならしばらく書く内容には困らなそうです( ◜ᴗ◝ )

今回も楽しんでいただければ幸いです!感想があれば是非お願いします〜!

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