表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/98

外伝 Ⅺ ある妹亜屍族の即死魔法⑫

☆★☆★ 単行本12巻 好評発売中 ☆★☆★


経験上、本日ぐらいから地方の書店様のほうにも並んでるはず。

長い赤髪男の表紙を見たら、ぜひよろしくお願いします。


挿絵(By みてみん)

 こうして、今度こそ事件は収束した。


 私は魔鰓(まさい)族の暗躍をアリーテに話したが、アリーテはこのことを人類側に報告するつもりはないようだ。

 実際、暗渠に転がる大量の魔鰓(まさい)族の死体も、魔族側で密かに回収された。


 理由は人類と魔族の関係がこじれないためだろう。

 魔族が王国の王都に潜伏していたと知れば、どんなペナルティが待っているかわからない。最悪、和平の解消もありうると、アリーテは言っていた。

 それだけ、人類と魔族の関係はまだまだ危ういということなのだろう。


 平和は達成することよりも、維持することのほうが難しい――とは、よく言ったものだ。


 人類と魔族の平和はともかく、私の交換留学は平和裏に進められている。


 1つ問題を除けば……。




「おっはー、カプコっち」


 遅れて学舎にやってきたルーディーと、下駄箱で合流する。


 どうやら今日は朝帰りらしく、胸元からチラッと見えた下着が昨日と同じだった。

 どんな変態とどんな行為をしたのかわからないが、制服から汗とは違う、男の体液の臭いがする。それもスカートの裏からするので、さらに業が深い。


「おはよ、ルーディー」


 私は表情を崩さず、挨拶を返す。


 基本的に私はルーディーの生活――いや性活には口を出さない。

 そして、ルーディーも私がやることに口を出さない。

 暗黙のルールのもと、私たちの友情は育まれてきた。


「ガーコ、おっはー」


「ふが……」


 ガーコは軽く会釈する。


 私は下駄箱を開けた。


 中に入っていたのは、果たし状のような脅迫文でも、植物の棘が大量に入っていたわけでもない。


 それは手紙だった。


 1枚ではない。

 数え切れないほどの手紙が、雪崩を打って、私の下駄箱から飛び出してくる。


「わーお。相変わらず人気だねぇ、カプコっち!」


「鍵を掛けておいたのに、どうやって?」


 私は小さな南京錠を握りしめた拳を震わせる。


 王都の民を震撼させた〝神隠し〟事件にて、侯爵令嬢にして聖女の妹オルティア・フォン・リュゼルを救出した私は、半ば英雄のような扱いを受けていた。


 聖女の妹を救った魔族の英雄という構図は、両種族が掲げる融和政策のカッコウのネタとなり、今では学院はおろか、王都民全員が知ることとなった。


 おかげで、学院では常に冷たい目にさらされてきた私たちは、今や救国の英雄のように持ち上げられ、靴箱はファンレターで溢れ返っているという始末だ。


「男からもあるけど、ほとんど女性ね。やっぱ聖女の妹ちゃんを助けたから、カプコっちは王子様ってイメージなのかな?」


 にしし、とルーディーは嬉しそうに微笑む。


 本当に何が楽しいのだが、私にはさっぱりわからない。


 1つ頭痛の種がなくなったと思ったら、また芽が出てくるなんて。

 そもそも魔族が英雄とか、王子とかあり得ない。


 それこそ世も末よ。


「これもすべてあの女のせいだわ」


「その女がやってきたよ、カプコっち」



「カプリコさまぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!!!」



 強烈な叫び声とともに、魔物の群れかと思うほどの激しい足音。


 振り返り、自分が見たのは栗色の髪を振り乱し、一心不乱にこっちに向かってくるオルティアの姿だった。


 ついに豹のように飛びかかったオルティアは、「わたくしを受け止めて」とばかりに手を広げた。


 当然、そんな気持ちの悪い生物を受け止めるつもりなど、私には毛頭ない。

 ひらりと回避すると、オルティアは、ビタンッ! と痛そうな音を立てて、床に抱きついた。


 やったか、と思って覗き込むと、ガサゴソと動き出す。

 蜚蠊(ひきり)並みのしぶとさだ。


「あーん。カプリコ様の肌って、意外と冷たくて、硬いのですね。あ。いいえ。別に胸がないとかそういう意味ではなくて、むしろわたくし、貧乳のほうがどちからと言えば……」


 地面の上でくねくねと動き出す。


 蜚蠊どころではない。

 もはや別の生物だ。


 ルーディーが私に囁く。


「侯爵令嬢って、あんな性格だったっけ?」


「そんなこと、どうでもいいから助けてくれない」


「わたくし、目覚めたのですわ!!」


 オルティアはルーディーと私の間に無理矢理入り、目をキラキラさせる。


「目覚めたって、なにが?」


「やだわぁ。カプリコお姉さまったら」


 いや、こんな大きな妹をうちの両親がこさえた覚えはないのだけど。


 私はすでにドッと疲れていたのだが、オルティアのテンションが上がるばかりだ。


 ずいっと身体を預けるよう私に迫ると、自分の手を見せた。


「これですわ」


「は? あなたの手がどうしたの?」


「拳ですわ。カプリコお姉さまの愛の鉄拳が、私に真実を見せたのですわ!」



 …………………………………………はっ?



 何言ってんだ、コイツ。


 そしてオルティアの独演会は始まった。


「わたくし、実は両親にも聖女のお姉様にも、勿論家臣も同じく、人から1度もぶたれたことがなかったのです」


「は? 1度も!?」


「叩かれてみてわかりました。わたくしの甘さを、思い上がり……! これもすべてカプリコお姉さまが拳に込めた愛のた・ま・も・の! つまり、わたくしは真実の愛を見つけてしまったのですわぁぁああああああああ!!」


「つまり、カプコっちにぶっ叩かれたら、カプコっちが好きになったと。やるねぇ、カプコっち。そういう才能があるんじゃない? お店紹介しようか?」


「それなら、オルティアを先にお店に紹介してあげて」


「ダメですわ、お姉さま! わたくし、お姉さまではいけないですわ」


「何が『いけないですわ』よ。意味を知って言ってんの、あなた!」


「はあ……。はあ……。逃げないでくださいませ、カプリコお姉さま。どうか。どうか……わたくしの愛を受け止めてくださいませぇぇええええええ!!」


「やめろ。やめなさい。やめろっていってんのよ、このクソあば――――!!」


 私は汚い言葉を絶叫する。


 人類って、こんなに気持ち悪い生物だったの。


 だとしたら、私はとんでもない所にきてしまったかもしれない。


☆★☆★ 7月刊 ☆★☆★


「魔王様は回復魔術を極めたい~その聖女、世界最強につき~」単行本第1巻!

7月24日発売です。よろしくお願いします。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミカライズ12巻 7月9日発売です!
↓※タイトルをクリックすると、販売ページに飛ぶことが出来ます↓
『「ククク……。奴は四天王の中でも最弱」と解雇された俺、なぜか勇者と聖女の師匠になる12』
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


5月7発売発売! オリジナル漫画原作『異世界で鍛冶神の力を得た俺、女神とスローライフはじめました。』単行本1巻発売!
女神と一緒に異世界町工場スローライフ!! 詳細はこちらをクリック

DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



『アラフォー冒険者、伝説になる』コミックス11巻 5月15日発売!
100万部突破! 最強娘に強化された最強パパの成り上がりの詳細はこちらをクリック

DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



シーモア様にて3巻発売!
↓※タイトルをクリックすると、シーモア公式に飛びます↓
『宮廷鍵師、【時間停止】と【分子分解】の能力を隠していたら追放される~封印していた魔王が暴れ出したみたいだけど、S級冒険者とダンジョン制覇するのでもう遅いです~』
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large




シリーズ大重版中! 第8巻が4月20日発売!
↓※タイトルをクリックすると、公式に飛びます↓
『公爵家の料理番様~300年生きる小さな料理人~』単行本8巻
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


好評発売中! オリジナル漫画原作『おっさん勇者は鍛冶屋でスローライフはじめました』単行本5巻発売!
引退したおっさん勇者の幸せスローライフ続編!! 詳細はこちらをクリック

DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



最新小説! グラストNOVELS様より第1巻が4月25日発売!
↓※表紙をクリックすると、公式に飛びます↓
『獣王陛下のちいさな料理番~役立たずと言われた第七王子、ギフト【料理】でもふもふたちと最強国家をつくりあげる~』書籍1巻
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


『劣等職の最強賢者』コミックス5巻 5月17日発売!
飽くなき強さを追い求める男の、異世界バトルファンタジーついにフィナーレ!詳細はこちらをクリック

DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



『魔物を狩るなと言われた最強ハンター、料理ギルドに転職する』
コミックス第4巻2月24日発売
↓↓表紙をクリックすると、Amazonに行けます↓↓
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



今回も全編書き下ろしです。WEB版にはないユランとの出会いを追加
↓※タイトルをクリックすると、公式に飛びます↓
『公爵家の料理番様~300年生きる小さな料理人~』待望の第2巻
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


12月10日発売! 全編書き下ろしですよ~。
↓※タイトルをクリックすると、カドカワBOOKS公式ページに飛ぶことが出来ます↓
『「ククク……。奴は四天王の中でも最弱」と解雇された俺、なぜか勇者と聖女の師匠になる2』
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large

ヤングエースUPコミカライズ配信中!
『ゼロスキルの料理番2』

好評発売中です。最強の村人の成り上がり!
『劣等職の最強賢者~底辺の【村人】から余裕で世界最強~』


小説家になろう 勝手にランキング

ツギクルバナー
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ