表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/98

外伝 Ⅺ ある妹亜屍族の即死魔法⑨

発売まであと3日! 書店で見かけましたら、ぜひお願いします。

『「ククク……。奴は四天王の中でも最弱」と解雇された俺、なぜか勇者と聖女の師匠になる』単行本12巻!!


挿絵(By みてみん)

 それは女子学生だった。

 黒のおかっぱ頭に、丸い縁取りの眼鏡をかけている。

 一見して、優等生っぽい少女の口から漏れたのは、謎の言葉だ。


「ガーコ、遠慮なくぶっ飛ばして!」


「ふが!」


 私の言葉に、瓦礫とともに天井から下りてきたガーコは男に襲いかかる。


 一瞬にして男の前に出ると、そのままラリアットを食らわせた。

 容赦のない一撃を諸に受けた男は吹き飛ばされ、暗渠の壁に叩きつけられる。

 意識を刈り取られ、そのまま気絶してしまった。


「ば、化け物!!」


 最後に残ったのは、中年の男だ。

 私たちに向けて、魔法をかけようとしたが、詠唱は半ばで止まる。

 薄らとした殺気にそのときになって、ようやく気づいたらしい。


「だーめ、おじさん。それよりも、あーしとあそぼ」


 男が振り返った瞬間、待っていたのはディープキスだった。

 一気に舌を伸ばされ、脂臭い口内は蹂躙される。

 まるでそれは男が食われているようにも見えたが、顔面の筋肉はトロトロになっていく。


 ついには精を解放した男は完全に意識を失い、同じく気絶してしまった。


「はい。いっちょ上がり。ああ。くさ! これだから中年の男の精を吸うのは苦手だわ。あとで、オーラルケアしなきゃ」


 ぺっ、ぺっ、と唾を吐く。


 私は日常的に見てきた光景を胸を撫で下ろした。


「助かったわ、ガーコ、ルーディー」


 すると、ガーコが私に飛びついてきた。

 思いっきり抱きしめると、肋骨がミシミシと音を立てる。

 しかし、ガーコに悪気はない。

 それどころか、いつも何を考えているかわからない三白眼からは、さめざめと涙が流れていた。


「ガーコ、すっごく心配してたのよ」


 ルーディーが言う。こっちはいつも通りだ。


「そう。ごめんね、ガーコ」


「ふが……」


 ホッとしたのか、ガーコは少し力を緩めてくれた。


 そんなガーコの頭を撫でながら、私はルーディーにもお礼を言った。。


「ルーディーもありがとう」


「ビックリしたわよ。試着室からなかなか出てこないから、覗いたらいないんだもん。寮に帰ったのかと思ったらいないし。おかげでガーコと一緒に王都中を捜し回る羽目になったんだからね」


「ごめん。今度埋め合わせをするわ」


「捜している途中で、おいしそうなパフェのお店が見つけたの」


「わかった。私はそこの男の店員の気を引けばいいのね」


「さすがカプコっち。あーしのことよくわかってる」


 ルーディーはそうこなくちゃとばかりに笑みを見せる。


 見た目はギャルだけど、ルーディーは甘いものに興味はない。

 パフェというのも、童貞男のことだ。

 そして、私に何か頼むとき、自分1人では落とすのが難しそうな男であることw指す。


「あれ? 寝取られお嬢様じゃない」


「寝取られお――――」


 ルーディーはようやくオルティアの存在に気づく。


 不本意な名前をつけられたオルティアは、顔を真っ赤にして怒るけど、ルーディーは気にした様子はなかった。


「同じように捕まっていたの。とりあえず弁務局に行きましょう。この状況で魔族がいたら、間違いなく衛兵たちに勘違いされるわ」


「それもそうね」


「ちょ、ちょっと待って」


 私を呼び止めたのは、オルティアだった。


「あなたはここに残りなさい。たぶん、すぐに衛兵が来ると思うから。何か聞かれたら、起こったことすべてありのままを話してくれても構わないわ」


「お、お待ちなさい! わたくしの言うことも聞いて」


 オルティアはついに声を荒らげる。


「何よ」


「その……。あ、ありがとうございました」


「お互い様よ。それにしても、暗渠のことは知らないのに、インスタントマンドラゴラのことは知っているのね」


「わ、わたくし、これでも植物園の管理を任されているの」


 自信満々に言い張る。


 まさか私の頭に毎回ぶつけてきた植木鉢の出所も、そこからじゃないでしょうね。


 管理している備品を人の頭にぶつけてきたってこと?


 お嬢様の倫理観がまったく掴めないわ。


「あと、改めて謝罪するわ。悪戯をしてごめんなさい」


 オルティアは頭を下げる。


 牢屋での謝罪よりも、はるかに誠実な意志が込められているような気がした。


「わたくし、魔族を誤解していた。もっと暴力的な方々だと」


「間違ってないわ。実際、暴力的だしね」


 私はガーコが突き破った天井の瓦礫を見る。


 オルティアは苦笑いを浮かべたが、すぐに真顔に戻った。


「それでも、人を殺さないでくれた。……むしろわたくしたちがあなたを傷付けようとした。わたくしも含めて」


 正直、どういう気持ちの変化があったかわからない。


 吊り橋効果? それとも囚愛性症候群かしら?


 随分とおてんば貴族令嬢がしおらしくなったものだ。

 1周回って、気持ち悪くさえ感じる。

 私に悪戯を仕掛けていたころのほうが、まだ可愛げがあった。


 胃の底から感じる吐き気を堪えていると、オルティアはスッと私に手を差しだした。


「それでも、わたくしを許してくれるなら、お友達になってくれないかしら。どうやらわたくしたち、似たような境遇らしいし」


 オルティアは目をキラキラさせながら、真っ直ぐ私のほうを向いた。


 そのとき、私は心底自分の家族の話をしたことを後悔した。


「そういえば、お願いのことを忘れていたわ」


「お願い……。ああ。あのことね。うん。覚えてるわ。何かしら? なんでも言って。一応、侯爵家の令嬢だし。割と言うことを聞けるわよ。大船に乗ったつもりで、ドンと来なさい」


 オルティアはまさしく「ドンッ!」という感じで胸を叩く。


「そう。じゃあ――――」


「へっ?」


 オルティアの目に映ったのは、拳を大きく振りかぶった私の姿だった。



 ドゴッッッッッッッッンンンン!!



 私の正拳は綺麗にオルティアの左頬を捉える。


 その衝撃は凄まじく、オルティアの身体がふわりと浮くと、そのまま錐揉み上に吹き飛ばされ、暗渠の壁に叩きつけられた。


「な、なんで……」


 左頬をくっきりと拳の痕が残しながら、オルティアは訴えると、そのまま気絶する。


 私は赤く腫れた自分の拳を見ながら、ため息を吐いた。


「やっぱりメリケンサックは必要だったわね」


 こうして王都で起きた「神隠し事件」は終わりを告げた。



 ……かに見えた。

「ククク」の姉妹作品!

『魔王様は回復魔術を極めたい~その聖女、世界最強につき~』の初単行本も、7月24日発売です!!

こちらもよろしくね!!


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミカライズ12巻 7月9日発売です!
↓※タイトルをクリックすると、販売ページに飛ぶことが出来ます↓
『「ククク……。奴は四天王の中でも最弱」と解雇された俺、なぜか勇者と聖女の師匠になる12』
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


5月7発売発売! オリジナル漫画原作『異世界で鍛冶神の力を得た俺、女神とスローライフはじめました。』単行本1巻発売!
女神と一緒に異世界町工場スローライフ!! 詳細はこちらをクリック

DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



『アラフォー冒険者、伝説になる』コミックス11巻 5月15日発売!
100万部突破! 最強娘に強化された最強パパの成り上がりの詳細はこちらをクリック

DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



シーモア様にて3巻発売!
↓※タイトルをクリックすると、シーモア公式に飛びます↓
『宮廷鍵師、【時間停止】と【分子分解】の能力を隠していたら追放される~封印していた魔王が暴れ出したみたいだけど、S級冒険者とダンジョン制覇するのでもう遅いです~』
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large




シリーズ大重版中! 第8巻が4月20日発売!
↓※タイトルをクリックすると、公式に飛びます↓
『公爵家の料理番様~300年生きる小さな料理人~』単行本8巻
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


好評発売中! オリジナル漫画原作『おっさん勇者は鍛冶屋でスローライフはじめました』単行本5巻発売!
引退したおっさん勇者の幸せスローライフ続編!! 詳細はこちらをクリック

DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



最新小説! グラストNOVELS様より第1巻が4月25日発売!
↓※表紙をクリックすると、公式に飛びます↓
『獣王陛下のちいさな料理番~役立たずと言われた第七王子、ギフト【料理】でもふもふたちと最強国家をつくりあげる~』書籍1巻
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


『劣等職の最強賢者』コミックス5巻 5月17日発売!
飽くなき強さを追い求める男の、異世界バトルファンタジーついにフィナーレ!詳細はこちらをクリック

DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



『魔物を狩るなと言われた最強ハンター、料理ギルドに転職する』
コミックス第4巻2月24日発売
↓↓表紙をクリックすると、Amazonに行けます↓↓
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large



今回も全編書き下ろしです。WEB版にはないユランとの出会いを追加
↓※タイトルをクリックすると、公式に飛びます↓
『公爵家の料理番様~300年生きる小さな料理人~』待望の第2巻
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large


12月10日発売! 全編書き下ろしですよ~。
↓※タイトルをクリックすると、カドカワBOOKS公式ページに飛ぶことが出来ます↓
『「ククク……。奴は四天王の中でも最弱」と解雇された俺、なぜか勇者と聖女の師匠になる2』
DhP_nWwU8AA7_OY.jpg:large

ヤングエースUPコミカライズ配信中!
『ゼロスキルの料理番2』

好評発売中です。最強の村人の成り上がり!
『劣等職の最強賢者~底辺の【村人】から余裕で世界最強~』


小説家になろう 勝手にランキング

ツギクルバナー
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ