19.東のキノコ
19.東のキノコ
昨日、ペンタゴンの佐藤さん達と、4日後に会う約束をした。
というわけで、今日から明後日まではフリーだ。
そこで、今受けている、キノコ狩りの依頼は例の如く飛行で日帰りできるが、キャンプも兼ねて1泊2日で行くことにした。
いまは、キャンプでやるバーベキューの具材選びに来ている。
キャンプ道具はリーナが元々持っていたので、基本は食材だけだ。
だが今回はキノコ狩りである。
おれはダッチオーブンをひそかに創造し隠し持っていくつもりである。
キノコと香草で大きめの鳥の丸焼を作るつもりだ。
さらに、その森にはキノコを食べに魔猪が出るという。
これを鴨葱と言わずになんというのか!
キノコ+猪=おいしい
これは自明の方程式であろう
ただし、掛け算は厳禁だ!腐ってしまうからね。
リーナは神族になったら太らないと聞いてから、これでもかと食うようになった。
たぶん人の時の3倍は食ってるな。
まぁ、おれも飯を食えるようになりたいんだが……。
あらゆる耐性がそれをさせてくれない。
おれの骨は不変だ。破壊されず、劣化しない、あらゆる変化を受け付けない。
そして、魔法どころか魂すらも、あらゆるものに完全耐性。
自分を生前の姿にすることも、魔法で飯を食えるようにすることも出来ない。
そのうち、不変にも慣れて変化できるようになるのだろうか?
まぁ、いずれ答えは出るだろう。
今のおれのトレンドは、リーナに旨い物を食わせることだ。
リリーによると、おれが分け与える魂や魔力もとても旨いらしい。
自分で食えないのがなんか悲しい。
さて、リーナが買い物を終えたようだ。
リリーも今夜のご飯の悪霊を捕まえてきたみたいだし、出発するとしよう。
「忘れ物は無いな?」
あっても現地で作るけどね。
「ああ、皿も調味料も予備の食材も完璧だ!」
「りりーもごはんもったよー」
悪霊さん、絶望の表情。
「では行くか。
いざ、キノコ狩りへ」
「「おー!」」
みんなテンションが高いせいか、街中で結構恥ずかしいことしているのに気が付かない。
まぁ、いいか。
たのしいし。
東門を出て、すぐに道をそれ森に入る。
不可視化の魔法をかけてキノコの山まで飛んで行く。
結構奥地まで飛んだので、キノコはまさに山のようにあった。
おまけに、大きな魔猪の足跡も見つかったので、おれは猪狩りに興じることにした。
200mほど先の斜面でキノコ食っているのを発見。
狙撃で仕留める。
売れる骨と毛皮を回収し、内臓は面倒だから消滅させた。
賞味の可食部位は240kgほどか……、我ながらけっこうでかいのを仕留めたな。
リーナとリリーの元に戻ると、リーナはすでに火をおこし、持ってきた食材の下ごしらえをしていた。
今回の採集はノルマギリギリでおしまい。
それ以上は全て我々 (食うのはリーナだけだが)の食料にする。
だから、さっきの猪も肉は売らない。
リーナは飯に関しては、けっこう欲張りなのだ。
さて、おれもダッチオーブンで鳥の丸焼を作り出すとしよう。
キノコと猪の汁物はリリーが手伝ってくれているから任せよう。
最近は、リリーも料理をしたがるので、いろいろ手伝ってもらっている。
意外と包丁さばきがうまいのだ。
聞いてみると、お母さんに習っていたそうだ。
6歳児に魚捌かせるお母さんもタダものじゃないよなぁ。
バーベキューが焼きあがり始めたようだ。
リリーはリーナのまねをして、悪霊を火あぶりにしている。
悪霊って焦げるのかな?
リーナはひたすら食い続ける。
リリーは悪霊を食べ終わって空飛んで遊んでる。
おれは今日の寝床をどうしようか考えていた。
せっかく山に来たんだから、ツリーハウスでも作るか……。
どんなのにしよう?
山奥だから、精霊樹とか作っても怒られないよね。
うん、精霊樹のツリーハウスにしよう。
別荘にもなるしね!
「ここなら、盆地だから容易には見つからないかな?
まぁ、ばれたら消すか移せばいいか。
創造・ツリーハウス!」
たかさ200mほどの大樹が創造される。
ちなみに、ツリーハウスは頂上にあるが生い茂った葉で外からは見えないだろう。
しかし中からは外がよく見える不思議空間にしておいた。
「精霊樹よ、我が別荘とこの森の景色を守ってくれ」
精霊樹は淡く発行して答えてくれた。
頼もしい番犬もできたところで、リリーとリーナを呼んでこよう。
「おっきなきー!」
「また立派な樹だな。世界に数本あるという世界樹にも引けを取らないのではない?」
精霊樹はほめられてうれしそうだ。
「寝床は一番上に作った。片付けも済んだことだし、上に行かないか?」
「たしかに、もういい時間ね。
つまみの燻製もできたことだし、構わないわ」
「りりーもうえいくー!みんないっしょにいこー!」
「では、行くとしよう」
みんなで話しながら、ゆっくりと頂上へ向かっていった。
なんだかんだで、みんな自力で飛べるからね。
上に登っても談笑は続き、リーナが燻製を食べきってお開きになった。
次の日にみんなで見た、山から昇る太陽はとても美しく見えた。
ああ、山にキャンプに来てよかった!
その日は、昼まではハイキングをして、またバーベキューをして、それからは飛んで帰った。
依頼のキノコをチャリティーに渡して、報酬を受け取るとペンタゴンの佐藤が出口で待っていた。
「明後日の約束だが、何とか全員これそうです。
ぜひ、その時に加入を決めてもらいたいものです」
全員とは驚いた、「大討伐以外ではまず集まらないと聞いていましたが?」
「それだけ、あなたに注目しているということですよ。
同朋に会うのは、本当に久しぶりなんです。
では、明後日ここでお会いしましょう」
「ええ、よろしくお願いします。
そういえば、準会員の方も来られるのですか?」
「数人、来たいという方が居ますので、おそらく来ると思いますよ」
「そうですか、こちらの方々とも仲良くなれればいいのですが」
「みんないい人たちです。きっと仲良くなれますよ。
少し驚かれるかもしれませんがね」
そう言って、佐藤は笑いながら去って行った。
明日は久しぶりに食いもの以外の露店を回ろうと計画している。
創造魔法のためにも、こちらの世界の物に少しでも触れておきたいしな。
パーティー:アマテラス
ランク:ノービス→ビギナー UP
採集依頼:3/3 UP
討伐依頼:解禁!
調査依頼:不可
依頼:キノコ採集
評価:普通
報酬:9000マグ (基本報酬+特別報酬)
備考:初めの討伐依頼を、ギルドより斡旋する。




