カジノ
カジノの中はにぎやかの一言だった。音楽隊が奏でる優雅な音楽と人々の声。
「ここが元教会だったのか、確認しないと……」
武蔵はあたりを見渡した。
部屋にはいくつものテーブルが置かれており、様々な賭け事が行われていた。
壁にはタペストリーが飾られ、豪華さを際立たせていた。
全く、教会とは思えない場所だった。
「ここの主に話を聞かないと、わかりませんね」
アメリアが提案した。
「主って、ここで一番偉い人のこと?」
そう簡単に会えるものだろうか。
武蔵がそう考えていたが、アメリアには秘策があるようだ。
「簡単ですよ。騒ぎを起こせば出てきます」
目の前には高く積まれたチップの山ができていた。
ここのテーブルの賭けは、簡単なルールだった。
赤と黒の二つの玉を二つのコップに入れ、伏せた状態でシャッフルする。
どちらのコップに、赤い玉が入っているのかを当てるものだった。
簡単なルールなため、倍率はかけたチップが倍になるだけだった。
だが、一枚のチップが二枚、二枚が四枚とどんどん増えていき、今では山となっている。
また、周囲には野次馬として集まってきた観客ができていた。
「次も全部賭けます」
アメリアの宣言に観客からおおぉと声が聞こえる。
ディーラーの顔色はかなり悪い。ここまで言い当てられてきたのは初めてなんだろう
「で、では、次の勝負です」
ディーラーが素早くコップに二つの玉をそれぞれ入れ、シャッフルする。
どちらに赤い玉が入っているのかは、もうわからない。
「さぁ、どちらのコップに赤い玉が入っているか指してください」
目の前に並べられた二つのコップ。
「雪さん、どっちですか?」
アメリアが雪に声をかける。
「ん~右!」
「では、左を開けてください」
ディーラーがアメリアが指した左側のコップを開けた。
中から赤い玉が出てきた。
観客から歓声が沸きあがる。
厄病神さまが憑いている雪が言う方の逆を指すと全て当たる。
アメリアが考えたのは至ってシンプルな作戦だった。
チップの山が二つになった。
「だいぶ繁盛しているようですね」
三人は突然乱入してきた男を見た。
杖をつきながら、身なりのいい格好をした男が近寄ってきた。
男の背後にはボディーガードのような屈強な男たちもいる。
「私はここを経営しているジャレッドと申します。以後、お見知りおきを……」
目的だったここの主が登場した。




