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第三の封印

 三人が消えた図書館の一角。

 そこに一人、男が訪れた。

 落ちている本――三人が飲み込まれた魔導書を手に取り、薄く笑った。

 本を持ったまま、図書館の出口へと向かった。





 雪はいつも通り、金属の棒を取り出した。

 開かずの扉二号の鍵をこじ開けるためだ。


「なかなかうまくいかないなぁ」


 予想以上にてこずっているようだ。

 開かずの扉一号の時も、少し時間を要した。

 武蔵は廊下の壁に寄り掛かり、雪が開けるのを待った。


「ちょっとー!何してくれているんですかー!?」


 消えた魔導書の管理人――ケイシーが現れた。


「この扉をこじ開けようとしていますです」


 雪がケイシーを見ずに答えた。


「ここはダメなの!封印がある場所なんで……」


 そこまで言い、はっとしたケイシーは口を閉ざした。


「さっき、忘れたと言っていなかったか?」


 武蔵の容赦ないツッコミにケイシーはうつむいた。


「それは……思い出したんです!はい、そうなのです!」


 ケイシーの言い訳を聞き流した。ここに第三の封印があるということが確定した。


「雪、もう少しかかりそうか?」


「あとちょっとー」


 無視されたケイシーは武蔵と雪の間を飛び交った。


「だから、ここは開けるなとイズミ様に言われて……」


「開いたー!」


 開かずの扉二号は雪にピッキング技術に倒れた。

 雪がそっと扉を開けた。


 部屋の中央に台があり、その上に球体があった。

 球体は第一、第二の封印よりも光り輝いていた。


「あれ、ここの球体はめちゃくちゃ光ってる」


 雪が近づき、球体に触れた。

 それでも光の強さは変わらなかった。


「ここは封印が弱まっていないということか……?」




 

 本を持った男が図書館の出口に差し掛かった。


「ちょっと待ってください。本の持ち出しには許可が入ります」


 カウンターにいる司書が本を持ち出そうとしている男を見つけ、呼び止めた。

 男は目を細め、舌打ちした。

 だが男はカウンターへは行かず、そのまま外へ出て行った。


「困ります!待ってください」


 司書が慌ててカウンターから出て、男を追いかけた。

 ドアの外へ出ると、男の姿はなかった。


「どこに……消えた?」


 司書は呆然とその場に立ち尽くした。



 男は図書館の裏手に居た。

 無造作に魔導書を地面に投げた。

 そして魔導書に向かって、右手を向けた。

 小さな声で何かをつぶやくと、右手の前に複雑な文様が広がった。


「火よ」


 男の声が発せられたと同時に、右手から火が放たれた。

 火は魔導書にぶつかり、燃え始めた。





「では、ここの封印は問題ないということで、ここから出ましょうか」


 後ろで見ていたアメリアが声をかけた。

 アメリアの意見に雪と武蔵が賛成した。

 あとは戻る方法だ。


「ケイシーちゃん、ここから出るにはどうすればいいの?」


「開けちゃダメっていったのに……」


 雪がふてくされているケイシーに話しかけた。


「ゴメンって。イズミって人の足跡を辿るためには、どうしても確認したかったんだよ」


 雪がケイシーを説得している間に、周りの空気が変わった。


「アメリアさん、ちょっと暑くなってきたと思いませんか?」


「武蔵さんもそう思います?」


 気のせいではない。なぜか温度が上がってきているのだ。


「ケイシーさん、少しいいですか?」


 アメリアが雪とケイシーの間に割り込んだ。


「温度が上がってきて、暑くなってきていますが、本の中って温度が変わるものですか?」


 その言葉にケイシーははっと天を見上げた。

 中空を見つめたケイシーの顔色は青くなった。


「そんな……本が燃えている!!」


「それって、まずいことなんじゃないか!?」


 ケイシーの言葉に武蔵が慌てた。

 ケイシーは目を閉じ、逡巡した。今から三人を本の外へ出し、火を消させるか。いや、間に合わない。

 ならば、封印だけはどうにかしなければならない。

 ゆっくりと目をあけ、ケイシーは言った。


「この球体を持って、本の外へ逃げてください。そして、新しい魔導書を作成し、そこにこの球体を封印してください」


 ケイシーの瞳は何かの決意がこもっていた。

 三人は無言で頷いた。



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