封印された坑道
街の西には採鉱所が広がっていた。
崖の下には穴が開いており、坑道への入り口となっていた。
いくつかの入り口を通り過ぎたとき、異様な入り口があった。
鉄格子に囲まれ、閉鎖されていた。
「ここか……」
問題はここにどうやって入ろうかと武蔵が考えていたところ、雪が前に歩み出た。
「源さん直伝の奥義を披露するとき!」
手にはどこから出したのか、開かずの扉の前で見た金属の棒が握られていた。
いつものようにツッコミしたいが、鉄格子の鍵は開けてほしいため、黙って見守った。
しばらくして、鍵が開き、鉄格子の扉が開いた。
暗い坑道をランプの灯を頼りに進んだ。
入り口から五分ほど歩いただろうか。
突然、それは現れた。
坑道を塞ぐ岩石が目の前に広がっていた。
岩石は隙間なく埋まっていた。
「コレは……」
武蔵は岩石に触ってみた。ひんやりとした感触がしただけで、びくともしない。
「この岩をどかすには、かなり大がかりな魔術が必要ですが、他が崩れる可能性がありますね」
アメリアも同様に岩石を触りながら言った。
魔術――この世界にはやはりあるのかと、武蔵は思った。サラ女王との謁見時にも魔導士というキーワードが出てきていたため、予想はしていた。
ギフトに魔術……文明が発展しないのも、これらの力が存在しているからだろう。
「それじゃ、ここからは入れないってこと?」
せっかく雪が鉄格子の鍵を開けたのだが、この坑道からでは奥に進むことはできない。
どこか脇道を探すしかない。二日前、宿場町で相談していた第二案になりそうだ。
「……唄にあった竜の巣から入るしかないな」
武蔵の提案に、雪の目が輝いた。
「そうだね、竜の巣を探そう!」
雪は竜の巣というのを見てみたかった。たとえ空の巣でも、ギフトの“物と話す”が発動すれば、竜が居たころの話を聞けるかもしれない。
浮かれた雪を先頭に、来た道を三人は引き返した。
「竜の巣は、基本的に断崖絶壁または洞窟に作られます。通路とドームで構成され、大きさは竜のサイズに比例します」
坑道の外に出た。アメリアから竜の巣について、簡単に特徴を聞いた。
この周辺のことなら、採掘所で働いている人に聞いたほうが早い。
近くに居た数人に声をかけた。そのうち一人から、採掘所からもっと西へ進んだところにある森の中に、洞窟があるという情報を得た。
採掘所から離れた森の中を探したところ、大きな洞窟があった。
坑道にしては、場所がおかしい。これが竜の巣の入り口だろうか。
前回同様にアメリアを先頭に、三人は洞窟に入った。
洞窟内はかなり広く、水が流れる音が響いていた。地下水が流れているようだ。
入り口から十分ほど歩いたところで、大きなホールに出た。
「ここが竜の巣ですね」
天井が高いことから、アメリアが推測した。
その天井に向かって、雪が話しかけていた。
「ここに居た竜のことを話してぇ~。話せ~。話してくだされ~」
どうやら、雪は竜に会いたかったようだ。絶滅してしまっているから、何とか話だけでも聞き出そうと、ギフト“物と話す”を発動しようとしていた。
ただ、はたから見れば変な人だ。
雪をそのままにして、武蔵とアメリアは坑道につながる通路がないか探した。
突如、大きな獣の哭き声が洞窟内に響いた。
「やったぁー!話ができた!!」
雪が飛んで喜んでいる。今の哭き声がそうなのかと武蔵が疑問に思った。その時、再度哭き声が響いた。
『わが領域を侵す者は何人も許さぬ』
天井から何か大きな影が舞い降りてきた。
ずしんと音をたて、竜が三人の前に立っていた。




