表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/52

ガランゴジュ

 工業の都市“ガランゴジュ”へは、東の都市から歩いて四日かかる。

 途中、三つの宿場町を立ち寄ることになった。



 二つ目の宿場町に泊まった際、ちょうど吟遊詩人が居酒屋で唄っていると噂を聞いた。

 英雄談が聞けるかもしれないため、三人は居酒屋へ行った。

 そこには長いローブのような服を着た男が、手にした竪琴を奏でていた。


 「次はこの地方で起きた英雄の物語を一興――」



 “封印された暗き坑道の奥深く、英雄が光を作られた

   光あるとき平和が訪れ、光失われしとき世界は混沌とならん”



 詩人が唄い終わった。

 光というのは、封印の球体のことだろうか。

 次の都市が工業で発展しているから、近くに採鉱所もあるだろう。

 仮に光が封印だとしたら、採鉱所の坑道奥深くにあるということだ。


「また次も暗い場所みたいですね」


 隣にいるアメリアに武蔵が声をかけた。アメリアも唄の内容について、いろいろと考えていたようだ。


「えぇ、購入しらランプが、また役に立ちそうです。部屋に戻ったら、日記の内容について教えてもらえるかしら」


 確かに、あと二日でガランゴジュに着く予定だから、日記の内容について確認した方がよい。

 静かにしていた雪が二人に声をかけた。


「お酒って、何歳から飲んでいいのかな?」


 ここは居酒屋。周りは酔っぱらって陽気な人ばかりで、とても楽しそうだ。雪がその仲間に加わりたいらしい。


「この国では二十歳から飲めますが、雪さんのところは違うのですか?」


 同じだった。異世界補正でお酒が飲める年齢が下がることを祈っていた雪は、がっかりした。

 しょぼくれた雪を引っ張り、三人は宿屋に戻った。




「ガランゴジュに関する記述は三日分です」


 武蔵はアメリアに三日分の日記の内容を話した。



 三月四日、晴れ ガランゴジュに到着早々、体育会系の野郎ばかりが集まった。剣をつるはしに変えて仲間になれと言われた。むさい。

 三月五日、晴れ 採鉱所に竜の巣につながり、封鎖された坑道があった。第二の封印はそこで行った。アキラがいない。

 三月六日、晴れ アキラがつるはしを持っていた。昨日行った坑道が潰されてしまった。



 アキラが坑道を潰したから、“封印された坑道”と唄われたのか。入り口が塞がっていると思われるが、入れるかはその場に行ってから考えよう。

 日記には“竜の巣”といういかにも物騒なキーワードが出てきた。

 この世界には竜がいるのだろうか。


「アメリアさん、この世界には竜はいるの?」


 雪がアメリアに聞いた。


「昔はいたと伝わっています。今は鎧や薬を作るため、乱獲されて絶滅した種族です」


 良かった。竜は今はいない。少し見てみたかったという気持ちが武蔵と雪にはあったが、今回はいないほうが良い。


「では、潰された坑道の状況を見て、入れそうになければ竜の巣を探し、そこから入れば第二の封印に辿り着けそうだな」


 竜の巣と坑道がつながっているから、何とかいけそうだが、前回同様に“アキラ”を恨んでしまう。

 ガランゴジュではまず、入り口を探すこととなると三人は位置づけた。



 それから二日後――



 南の工業都市“ガランゴジュ”に三人は到着した。

 街は谷間となっている場所で栄えていた。

 露出した岩肌を掘り、そこに居を構えている家もあった。

 あちこちで製鉄が行われ、煙が立ち上っている。金属を加工する音が谷間に響いていた。


 三人は拠点とする宿屋を見つけ、荷物を置き、調査に出た。

 まずは封印された坑道を探さなければならない。

 情報収集をするため、繁華街へ出た。


 道の両脇に武器や防具といった戦いに関するものから、ワイヤーやネジ、ナットといった部品まで並んでおり、物があふれていた。

 定番は居酒屋だが、まだ日が高いため、店が開いていない。

 ぶらぶらと歩いていたら、雪がある店のショーウィンドウで立ち止っていた。


「雪、何かあったのか?」


「この石、すごく綺麗。宝石かな?」


 飾られていたのは、色つきの水晶のような石だった。

 次の封印が坑道にあるということは、石を取り扱っている店主が何かを知っているかもしれない。


「アメリアさん、この店の店主にちょっと聞いてみましょう」


 三人は店に入った。

 店内はさまざまな石が所せましと並んでいた。


「らしゃい。ゆっくり見ていきな」


 店の奥から声が聞こえた。

 奥には顎髭を蓄えた、筋肉隆々な旦那がいた。


「マッチョ……」


 雪がつぶやいた。


「すみません、聞きたいことがあるのですが……」


 武蔵が恐る恐る聞いた。


「ん?なんだ、観光客か?迷子になったんなら、屯所に詰めている奴らに聞けばわかるぞ」


 この街には屯所があるようだ。前の街のような騒ぎを起こしたら、警察官見たいなのが出てくるということか。


「いえ、封印された坑道について、知っている人を探しているのですが」


 マッチョの目の色が変わった。


「何の用事があって、探している?」


 低くなった声に武蔵は慄いた。だが、このマッチョが何か知っている。勇気を出し、武蔵は理由を言った。


「坑道の奥にある光の状況を確認するためです。それ以外の用事はありません」


 目をじっと見つめられた。マッチョの眼力に思わずそらしたくなったが、そらしたらやましいことがあると思われる。

 武蔵が我慢した。冷や汗が頬を伝う。


「よし、嘘は言っていないな。坑道はこの街の西側に行ったところにある。一つだけ鉄格子で囲まれているから、すぐにわかるぞ」


 マッチョがニカッと笑い、言った。

 武蔵はマッチョと心が通じた。


 三人は店を出て、街の西を目指した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ