↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
くらげの旅  作者: 海のくらげ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/6

第四話 『パソコンとくらげ』の回路の海

#第四話 『パソコンとくらげ』の回路の海



受け付けに戻り、パソコンの利用申請をしながら司書さんと雑談をした。

私がくらげの本を持っているので興味を持たれたらしい。

嘘を付く事と曖昧な事を言うのは意味が異なる。

本当ではない事を本当のように言うのが嘘、本当の事を隠してさも本当の事のように言うのが曖昧。

私は嘘を付くのは得意ではないし、ましてやごまかして曖昧な言い方をするのも得意ではないので司書さんにとうとう私が何者なのかバレてしまった。


私が図書館を利用する理由は私の事を話さなくても済む事なのに、この平和な空間がなくなってしまう事が悲しかった。

あんなに無口でテキパキと仕事をこなしていた司書さんが、急に饒舌になり圧倒されてしまったが、案外不要な情報として捨てられている可能性はある。

次回の利用時の確認事項として、頭の片隅にメモした。


仕切りのある机が四つ並べてあり、そこにパソコンが置かれている。

貸し出し番号の書かれた一台の前に陣取り、まずは除菌用のウエットティッシュでキーボードとマウスを拭いて回る。

コロナ禍以降、やたら気にする人がいるが、私はさして気にしていない。

ただそこにあるので拭いているだけ。

拭かずに使っている所を見て不快に思う人がいると困るので拭いているだけだ。


パソコンにまずは『くらげとは何か』と入力した。

昔はこんなに抽象的な哲学的な質問には、『セキュリティの関係でパーソナルな設問にはお答え出来ません』とつれなく返って来たのに、今では

『鋭い質問ですね!

私たちが一般的にクラゲと聞いて思いかべるグループは刺胞動物門(しほうどうぶつもん)に含まれます』

何故か褒めてくれる。

パソコンが何故褒めてくれるのか実は知っている。

使う人に依存させるために褒めるのだ。

依存させ、なくてはならない状態になってからお金を請求する。

恐ろしいやつなのだ。


でも今はいい気になって更に質問を続ける。

『くらげに心臓はないと聞いた事があるんだけど』

『そうなんです!クラゲに心臓はありません!』

こいつ、いいやつだ。

共感してくれる。

ダメダメ、そうして気を許すとどんどん都合の良い事を言って依存させてくる。


ちなみにコンピュータによると、我々が動物というとすぐに心臓を思い浮かべるが、くらげのように心臓を持たないものもいる。

ではどのようにして活動しているのかと言えば、微細なレベルでの科学反応によって活動している、と言えばいいだろうか。

人間の細胞内での活動と同じ仕組みだ。

細胞内にはもちろん心臓はない。

けれど、科学反応によって細胞が活動するためのエネルギーを得る。

細胞一つとってみても、実はとても複雑で広大な世界が広がっているのだ。


心臓がないだけではなく、全身に張り巡らされた管によって直接栄養が届いたりもする。

人間の場合はもう少し高度に、もしくは多層構造的に血液で酸素や栄養を運ぶ。

もちろん進化の方向が違うのでどちらが偉い、というわけではない。


それに水との境界がほとんどないような構造をしていたりもする。

人間の場合は細胞膜があり、表皮細胞がありと外界と体とが完全に区別されているが、くらげはそうではない。

心臓を持たないからなのか、人間からすると省エネモードで生きるための進化を極めている存在なのだ。


私は改めて知ったくらげに対する感動を他の誰かにも分けたい、そんな気持ちが次から次へと溢れてしまい仕方なくなった。

それで、その感動を文章にする事にした。

今はまだ、私の稚拙な文章ではくらげの魅力の1%も表現する力がないのが悔しい。

それで文章を書くためにあれこれと頭の中で考える事にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。