子どもを保護
孤児を連れて来たすフェール。
街長に相談するも孤児院は一杯だという。
子ども達の話からヒュマナ信者がいると聞きスフェールが飛び出していき──
「──と、いう訳だ」
「そうだったんですか……ところで亡骸は」
「ここだ」
と、アイテムボックスから引き出した。
体格の良さそうな男女の死体。
思わず私は息をのむ。
「おがーざーん! おどーざーん!」
「うう、ぐずぐずっ」
「どうしたものでしょうか」
「孤児院はどうだ?」
「実は今手一杯でして」
「なんだと?」
長のディカさんがそう言うとスフェールは眉をひそめた。
「ええ、ヒュマナ信者の襲来やら何やらで孤児が増えてしまったので……」
「ああ……」
納得した、被害は完全には食い止められなかったのかと。
自分の力不足を恥じた。
「この街を目指してたのか?」
「う゛ん」
スフェールが男の子に話しかけると、遺体を少しあさった。
お守り──フェンリナ様の加護のマークが削られた木のネックレスが男女の死体から発見された。
「なるほど、フェンリナ様を頼ってきたのか」
「おどうざんが、ここにいけばみござまがいるって……」
もしかして、完全に私の責任では?
顔色が青くなる。
「何故ここを目指した」
「ひゅまなしんじゃにむらをせんぎょざれだからにげでぎだの」
「マジか、まだ居るのかよ」
「村は我がどうにかする、ルリ、長、こいつらと死体を頼む」
ひゅっと飛び出していった。
「ちょ、ちょっとぉ‼」
私の制止も聞かず飛び出していった。
珍しい。
「死体は私共が埋葬します」
長のディカさんがそう言ってくれたので助かった。
墓地に死体は埋葬された。
さて、問題は子ども等だ。
未だぐずぐずと泣いている。
さて、どうしたものかと私が頭を悩ませているときゅうとお腹のなる音がした。
「お腹空いた?」
私が問いかければ、二人は頷いた。
なので私は作っておいたシチューとパンと、水を出してあげた。
「はいどうぞ」
「わぁ……」
「おいしそう……」
「これ、たべていいの?」
「いいの」
私がにこりと笑うと二人はスプーンを手に取り食べ始めた。
「わぁぁ!」
「おやさい、とろとろ、おにくもほろほろ……!」
「すーぷもおいしい……なにこれ⁈」
「ビーフシチューよ」
「びーふ」
「しちゅー?」
「まぁ、使ったお肉はマーダーブルのお肉だから、マーダーブルのスープ料理と思ってくれるとうれしいな」
「こうきゅうしょくざい!」
「おとうさんたちにもたべさせてあげたかったなぁ……」
「うん……」
ぽろぽろと再び泣き出す二人。
「ほらほら、涙を拭いて。お母さんとお父さんの分まで貴方達は生きなきゃいけないのだから、食べなさい」
そう言うと頷いて食べ始めた。
そして泣き疲れて眠った二人を客室のベッドに運び、一息つく。
シチューを一人で食べるが何か味気ない。
寂しいとか、色んな感情が湧いてくる。
「早く帰ってこないかな……」
そう思いながらスフェールの帰りを待つ。
夕方──
「戻ったぞ」
「スフェール」
二足歩行で家に入ってきたスフェールに抱きつく。
「……どうした?」
「心配したの」
「我を心配する必要などあるまい?」
「そうだけど……」
「そうだ、帰りにドラゴンを一匹狩ってきたから、明日解体するからそれ以降何か作ってくれドラゴン肉で」
「食い気かい!」
思わずツッコんでしまう。
「……取りあえず、マーダーブルのシチューを作ったから食べて」
「おお、いいな」
果実水を出し、マーダーブルのシチューをアイテムボックスから取りだし、器に盛り、パンも添える。
「うむ、美味い」
「全く……一人でどこかに行ったりしないでよ……」
ぽろりと本音が漏れる。
「それはすまんな、我が妻よ」
「普段は巫女扱いなのに、こう言う時だけ妻扱いずるい」
「そう言うな、我が妻と知られれば、お前を人質に取ろうとする輩が多く出るだろう。まぁ、お前を人質にした時点で脳みそがおざなりな証拠だが」
「まぁ、死亡フラグ立つよね色んな意味で」
「しぼうふらぐ?」
「死ぬ確率が上がる、みたいなこと」
「そうだな、その通りだ」
私にちょっかい出した時点でスフェール多分怒るだろうし、そこで死亡フラグは立つ。
そして私自身も加護を大量に持って居るから相手は無事じゃすまない。
「普段は巫女様でいいわ」
「そうだな……」
そんな話をしていると足音が聞こえた。
パタパタと二つ。
「あ……」
「フェンリルさまとえっと……」
「巫女だ」
「みこさま……あのおねがいがあるんです」
「何かしら?」
「僕と妹をやとってください!」
その言葉に面食らう。
そして吹き出す。
「だめ、ですか」
「だめじゃないわ、やとうなんてしないわ。私達の家で良ければ一緒に暮らしましょう?」
「おい、ルリ」
「いいじゃない、広いし、子ども二人養う位平気でしょう?」
「……おい、童共」
「ひゃい!」
「は、はい!」
「家においてやってもいいが、人さらいにだけは気をつけろ。なるべく家からでるなよ」
「それって……」
「フン」
スフェールはそう言って部屋を出て行ってしまった。
「お、おこらせちゃったのかなぁ……」
「いいえ、怒らせてないわ。納得したのよ」
おどおどする二人を撫でながら私は言う。
「家の事をやってくれるかしら」
「「はい!」」
「でも、無理しちゃ駄目よ」
そう言うとふたりはこくこくと頷いた。
二人が再び眠ったのを見ると、私は寝室に戻った。
スフェールが元の姿になって寝そべっている。
「スフェール、有り難う」
「気をつけろよ、我らの足手まといになりかねんからな」
「うん、だから街の人に相談するよ」
「そうか」
スフェールはそう言うとすり寄ってきた。
「ふふ、ふかふかでくすぐったい」
「先ほど風呂に入ったからな」
「なるほどね」
私は心地の良いスフェールの体に抱きついて匂いを嗅ぐ。
「……いい香り」
「少し鼻につくがな」
「嫌い?」
「いや」
「なら嬉しい」
私は寝間着に着替えて、そのままベッドに横になる。
「お休みスフェール」
「お休み、ルリ」
私は目を閉じ、眠りに落ちた──
子ども達と生活することになったルリとスフェール。
スフェールは妻扱いをできなくなって少し不満げだったりする。
でも、ルリが決めたなら仕方ない。
ここまで読んでくださり有り難うございました。
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