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一難去ってまた一難

一週間の移動後、魔族を襲っている勇者一味と襲われている魔族を見つけるルリとスフェール。

二人は「勇者」に立ちはだかり、ヒュマナ神の諫言によって暴挙を働いている彼らを叩きのめす。

すると、そこに魔王がやって来て──




 一週間、神様から街は大丈夫だと聞いたので街を無視してスフェールの上に乗り続けた。

 途中トイレ休憩等を挟みつつ。



 すると、魔力の濃度が一気に濃くなってきた。

 同時に争い合う音が聞こえてきた。


「ヒュマナめ! 消滅の際に勇者召喚などしおって!」

「魔族は悪! 消えろぉ!」

「ファイヤーボール!」


 声の所に飛び込み、魔族を庇うように「勇者」に立ちはだかる。

「ヒュマナ神に呼ばれた勇者共か」

 スフェールが吐き捨てるように言う。

「魔族が世界を征服するから助けてとヒュマナと言う神に言われたんだ!」

「そうよ! だから魔族を──」

 私が口を挟む。

「それやったの人間、魔族は侵略される側だった」

 事実を言うが信じないようだ。

「嘘だ!」

「そうだ嘘だ!」

「嘘よ!」

 召喚された人間達は受け入れない。

 となれば仕方ない。

「スフェール、やるよ」

「ああ」

 私はスフェールから飛び降り、そのまま銃を向けて打ち込む。

 無属性の魔弾の衝撃に、勇者達は耐える。


「これはどうだ?」


 スフェールの雷撃が勇者に直撃する。

 が、盾で防いだようだ。

 ミスリルの盾っぽいな。


「本気モードで行こう」

「ああ」


 スフェールとそう会話すると、私は勇者連中の間に飛び込み、協力な魔弾をぶち込んでやった。

 回転しながら、乱射すると、鎧が凹む。


 そこに、スフェールの風魔法の斬撃が入ると勇者達の防具はボロボロになった。


 倒れ込む勇者達の内二名の顔面に銃を向ける。


「これで終わりよ」


 バンと音が鳴り、額の紋様が粉々に砕け散り二名が倒れる。


 後二名。


「とっ捕まえたぞ」


 二名を踏み倒しているスフェールに近づき、同じように銃を向ける。


 バンと音とともり、パリンと紋様が砕け散る。


「神託があった、これで大丈夫、だそうだ」

「そうですか……」


 私はほっと胸をなで下ろす。


「じゃあ、帰ろうか」

「そうだな」

 そんな事を話していると──

「待たれよ、巫女とフェンリル殿」

 角を生やしたどこか美しいけど、ちょっと怖い感じの方が現れた。

 黒いドラゴンに乗って。

「魔王様!」

「魔王様!」

 先ほど戦っていた人達がひれ伏す。


──え、魔王?──


「こちらも神託はもらっている、そして既に終えているとは流石クロノシア神の加護を持つ巫女」

「は、ははは……」

 私は目をそらし、乾いた笑いを浮かべる。

「良ければ王宮へ、英雄を歓待したい」

「え?」

「結構だ、我らは住処へと戻る。一週間かかるのでな戻るのにも」

「それは残念だ」

 魔王様、マジ残念そう。

 ちょっと良心は痛むが、早く帰りたい。

「ならば国を通して贈り物を贈ろう」

「贈り物?」

「メルトディス王国の国王に頼んで贈り物をする」

「あのー結構で……」

「いいだろう、それなら貰っておけ」

「はぁ……」

「では帰るぞ、ルリよ。さらばだ魔王マティス」

「ではお気をつけてフェンリル様」

 そう言って、私は四足歩行のままのスフェールに乗りその場を後にした。

「……何が来るんだろうね?」

「さてな」

 スフェールはどうでも良さそうだった。



「よくぞやってくれた!」

 クロノシア様に褒められる。

 まぁ、夢の中でなんだけどね。

「これで問題は全部解決ですか?」

「うむ、解決だ!」

「……あの」

「其方の願いは叶えられぬ、すまぬな」

 やっぱり、元の世界には戻れないんだ。

 悲しいけどこれが現実。

「まぁ、マティスからの報償に期待しておれ」

「なんかとんでもない報償になりそうなので期待したくないですー」

 私は思わず遠い目をする。

「それより、私がもたらした板、そうタブレットはどう?」

「あーさっき見たら値段がこちらのもので表記されるようになってましたね」

「それで、貴方が自動で消費される金額が分かるわ」

「マジすか! ……なんか自転車とかもあったんですが」

「ああ、貴方のバッグに入らない商品は目の前に出現する仕様らしいわ。バッグに入る商品はバッグの中に出現するけど。」

「わかりました、説明ありがとうございます」

「いえいえ」

 フェンリナ様はいつも優しい。

 あの時だってフェンリナ様が助けてくれなかったら今頃私死んでるし。


「本当は貴方の召喚を防げたら良かったんだけど……ごめんなさいね」

 フェンリナ様が申し訳なさそうにしてる。

「いや、いいですよ、フェンリナ様のおかげで私スフェールと自由にしていられるので」

「そう……」

 フェンリナ様はどこか悲しそうに微笑んだ。

「私達の所為だというのに、貴方は責めないのですね」

「いやーヒュマナの所為でしょう」

「でも、元同胞よ」

「アレが同胞なのは可哀想すぎますよ、フェンリナ様達が」

 転移して、戻れないのは悲しいが、それでも楽しい事を見つけていく良いきっかけになった。

「さて、これから何をしようかな?」

「それなのじゃがなー……お前さんに国を持たせようとしてくるぞ」

「はい?」

 クロノシア様の言葉に耳を疑う。

「ほれヒュムニア王国じゃ、あそこ今大変な事になっててな、元奴隷達が今まで自分達を虐げていた貴族の命令なんか聞きたくないと言い出しておる」

「はぁ」

「それに、重税をかけられていた民達も同意しておる、多国の貴族でも敵視していてな」

「それは大変だ」

「じゃから、お前さんに頼もうと国王達が言ってくるぞ」

「げぇえええ!」

 しゃれにならん、私は断るぞ。

「じゃろうな」

「私一般人、国をどうにかするなんて無理」

「じゃから、お前さん達が推薦する形で国を任せれば良いと儂は思う」

「あのー誰を見繕えば?」

「それはスフェールからフェンリナが神託を下す、じゃからそれまでまっておくと良いぞー」





「……」

 朝目が覚める。

 私は深いため息をついた。

「面倒ごとはこりごりだよ、早くのんびりスローライフを楽しみたい」

 と二回目のため息を盛大についた。







何やら面倒ごとはまだまだ終わらない感じのルリ。

スフェールはどう動いてくれるのでしょうか?


ここまで読んでくださり有り難うございました。

次回も読んでくださると嬉しいです。

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