~第十五章~
紹介が終わってとりあえず、移動しようとなった今、俺たち三人は原色にまみれる派手なジャングルを少し警戒しながら歩いている。
先刻から三十分ほど歩いたのだが、町や村どころかこのジャングルを抜ける気配すら感じられなかった。
「長いですね、このジャングル」
「そのようだな、終わる気配が全く無い」
「いきなりこんな所によこして、何させようってんだよ」
それぞれに愚痴を零し薄明るいジャングルを歩く。
すれ違うものは木々しかなく、そろそろジャングルも飽きてきた頃だ。
ガササ!
「なに!?」
「しっ、敵かも知れん」
「まじかよ!?」
急に耳を突いたその音に俺達は警戒を高め、それぞれの武器に手を掛ける。
「ガルルル・・・」
「グウゥゥ!」
音がした草陰から現れたのは、狼のような頭部を持った生き物。
膵液を垂らし明らかに獲物を見つけたような目でこちらに歩み寄ってくる。
数は・・・三体だ。
ただこの狼どもの背中には白い翼が生えていて、その体を浮かすには十分な大きさをしていた。
「くそっ、化け物じゃねえか」
「俺はこんなところでは死にたくないぞ」
「私だって家に帰るんです!」
それぞれ、武器を構え歩み寄ってくる狼に対して臨戦態勢をとる。
運良くそれぞれが武道に通じることをしているのでさほど戸惑うことも無く対処することが出来た。
ただ、俺と杉弓は対人の武道に対して篠崎は弓道。
対人ではないことはおろか、武道をたしなんでるとはいえ女だ、心配が心によぎってしまった。
「篠崎・・・大丈夫か?」
「大丈夫ですよ、怖いですけどこんな状況で弱音なんて吐いてられません」
俺の心配は、ただの心配に過ぎなかった。
そのまなざしは、とても鋭く強い意志が宿っていた。
そうか・・・武芸者たるもの己の腕に自信を持っていなくては成長なし。
その言葉を再び実感させられることになるとはな。
「上総!篠崎!相手は丁度三匹だ。それぞれ離れすぎないように辺りに散らばれ!無事倒してまたこの場所に戻ってくるぞ!」
「おう!」
「はいっ!」
杉弓の怒号に反応して生き残ることを誓うと、杉弓はすぐさま反転してその場から駆け出した。
その後を追って。一匹の狼が杉弓の後を追っていく。まるで一対一でやり合うことを分かっているかのように。
「目印はあの蔦の巻かれている木だ。無事を祈る」
そういって杉弓の姿はジャングルの木々にはさまれた奥に消えていった。
「俺達も生き残ろう!絶対帰って来いよ!」
そういって俺も駆け出す。
無論狼は一匹だけ追ってくる。
敵ながらもその知識があることには敬意を表する。
「はいっ!上総君も!」
篠崎も俺と反対の方向に駆け出し、一匹の狼を連れてジャングルの中に姿を消した。
必ず生き残る。
この思いを胸に俺も木々生い茂るジャングルへと駆け出していった。




