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~第十六章~杉弓吾朗座


木々生い茂るジャングルを駆け抜ける。


前方に現れ進行を遮る、草木を俺の刀『クルーエル・ソード』で切り落としながら、駆けて行く。


後ろに目を移すと、先ほどの狼の群れの一匹が荒い息を吐きながら、ところどころで膵液を垂らし追いかけてきているのが目に入った。


「どうやら、動物ながら多少の知恵はあるようだな」


先刻の作戦は一種の賭けだった。


もしあの場で駆け出した俺に三匹の狼が群れを成して襲ってきたらたちまち俺は奴らの餌になっていただろう。


しかし、敵としては背後を取られるのは致命的。


俺の危険性は高まるが、背後から上総と篠崎が奇襲を仕掛ければ奴らは終わっていた。


しかし、単独で追ってきたとなるとそれを理解していたのかはたまた、ただ分からなかっただけかは知りえないが、正しい判断を選択したことになる。


あとは俺がこいつを蹴散らし、みな無事であの場所に合流できれば、まったく問題は無いだろう。


俺は上総と篠崎の腕を信じてあの行動を取った。


列車で聞いた事によればこの狼が超人的な能力を持っていない限り上総は負けないであろう。


篠崎も女性ながらこの苛酷な環境についてくる精神の持ち主だ。


俺の心配には及ばないだろう。


そして俺は、掛ける足をとめる。


「さてと。そろそろやりあうとするか、犬っころ」


刀を鞘から抜き取り反転して、中断に構える。


「グゥ!?」


それを確認した狼も掛ける足を止めた武器の間合いのギリギリ外で止まった。


ちっ、こいつ犬の癖にこの武器の間合いが分かっているのか?


あのまま突っ込んでくれば頭を切り落としてやったのに。


二つ目の作戦は悉く失敗に終わり、俺達の戦いが始まった。


「グウゥ・・・」


半身の状態で狼は刀の間合いの外を様子を伺うようにしてある一定の距離をとり俺の周りを移動している。


ふん、犬の分際で頭の切れることだ。


痺れを切らし、俺は右手の平を宙に向ける。


風を収束させ、小さな竜巻を手上に発生させる。


「くらえ!」


そのまま、竜巻を狼目掛け放った。


地面の草木をなぎ倒しながら、目に見える風の力が狼へと突進していく。


「ガウ!」


「!?」


すると狼が背中の翼を羽ばたかせるのが目に飛び込んできた。


あの羽は飾りじゃないのか!?


そのまま狼は翼を羽ばたかせ宙へと飛び上がった。


「ガァ!」


そのまま間髪入れず、牙の輝く口を大きく開く。


「?」


その状態から何が出来・・・


「グアゥ!」


「!?」


その口から真っ赤に燃え滾るバスケットボール大の火球が放たれた。


何!?


右手を刀にかざし風力を刀身に宿す。


風を帯びた刀で向かってくる火球に対して構えた。


「うらぁ!」


そのまま、水平に切り抜き火球を弾き飛ばす。


風と衝突し爆煙があたりに立ち込めた。


くそっ!前が見えない!


立ち込める煙をいくら掃っても宙に舞っている狼の姿を目視することは出来なかった。


「ガァァ!」


「なっ!?」


不意にその煙を引き裂いて、正面から狼がその大きな口を開いて突進してきた。


キィィン!


刃と牙がぶつかり合う音が響く。


体制を崩しながらも刀を顔の前で水平にして何とか受け止めた。


しかし体が後方へ、倒れこむ。


地面へ伏したらさすがに危険だ。


そのまま倒れこみながらも刀身を左側方へ引き流しながら攻撃をかわす。


反転して地面に右手を着いて、なんとか転倒は持ちこたえた。


「グルルル・・・」


刀を口で受け止めたせいか狼の口からは少量の出血が見て取れた。


しかし全くひるんでいる様子が無い。


さすがにきついかこれは・・・


柄を握る力を強め、再び刀を構えた。


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