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31 お金の意味

ナナ視点のお話です。

 何が何だかわからないまま、ようやくひとつの建物に入った。

「……ここがあなたの目当ての場所?」

 そう聞くと「うん。」と出る前とは比べ物にならないほど気のない返事。

 一体、どうしたっていうのよ。


 奥にあった階段を上りきると、沢山の書物の並ぶ部屋が現れた。

 いや、果たしてこれは書物と呼べるのか。

 表紙には人とおぼしき派手な装飾が施されたそれらは、ナナの目には斬新に映った。

 手に取ってみると、城にあるものよりもいい紙でできていることが分かる。

 目が痛くなりそうな表紙はツルツルしていた。


「ねぇこれって……」

 本当に紙でできてるの?と後ろを振り替えるがそこに居たのは見知らぬ人間。

 2人組のそれは苦笑いを浮かべながら軽く会釈をして去っていった。


(あいつは……どこに行ったのよ!!)


 すると遠くの方で「ナナさぁ〜ん!」と呼ぶ声が聞こえる。

 見ると人目も気にせず飛び跳ねながら手を振る白い服がいた。

 その表情は明るく、先程の暗さは全く見えない。


(なんなのよ全く……)

「……そこで待ってなさいよ!」


 聖女の元へ行くと既に大量の書物を抱え込んだ姿があった。

「……………それ、どうする気?」

「え?あー、はは……買いたいなぁ〜と思って……」

 目を泳がせながらそう言う。

「でも、よく考えたら私、お金持ってないし……」

「お金?」

 お金って、なに?

 そう聞くととても驚いたような顔をされた。

 なんか腹立つ。


「なに?」

「……えーと、これを買うにはお金というものが必要なんです。」

「どうして?」

「どうして!?え、えーと…無償で貰う訳にはいかないからです!!」

「ふーん。」

 聖女の時代は大変だったんだ。


「じゃあ、結局それどうするの?」

「諦める………」

 とても悔しそうな顔で書物を元の位置に戻した。


「もういいの?」

 入口へ向かう聖女に声をかける。

「うん。」

 ここへ来る前の声に戻っていた。

お金って、とても大切ですよね。

ロゼは娯楽のない世界で、どうやってこれからを過ごすのでしょうか。

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