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気分はるんるん。

 魔女の館からの帰り道をニファはるんるんと鼻唄を鳴らしながら歩いていた。

 暗く不気味なクラーケンの森の雰囲気とは到底釣り合わないメロディー。


「いやあ、成功、成功、大成功。魔女って案外良い人だったなあ」


 来たときは手ぶらだったニファの両手は2つの紙袋を握っている。


「右はポ~ション~♪ 左は薬草ぅ~♪」


 ニファの右手の紙袋には赤い液体と青い液体の入ったガラス瓶が2本入っていた。一方、左手の紙袋には色とりどりの薬草が乱雑に詰め込まれている。


「ポーションを伯爵に飲ませて~♪ 薬草の~♪ あんなものやこんなものの匂いを~♪ 伯爵に吸わせるのよ~♪」


 ニファは歌いながら魔女に教えてもらった催眠の手順を頭の中で反復記憶する。


 性格の悪い魔女という前評判とは裏腹にとても良く教えてくれたことには驚きだった。まあ、ニファの性悪行動に賛同しての催眠方法の伝授であったから、その時点で悪い魔女ではあるのだろうけれど。


『この娘、あんたにはそもそも魔力がない。

 だから、あんたには魔法は使えない。出来るのはこのポーションと薬草を使った催眠くらいだか、安心して良い。

 こいつは良く効くぞぉ。なんたってあたし特性のポーションと薬草だからねえ』


 自慢げにニタニタと笑っていた魔女。

 このポーションと薬草には魔女の魔力が込められているらしく、その効能は保証するとのことだ。


『使い方は簡単だ。初めにこの青いポーションと赤いポーションを男に飲ませる。青は強烈な睡眠効果、赤は薬草の効き目を増大させる効果がある。

 で、男が眠ったら部屋にでも寝かせておいて、その隙にこの全部の薬草を一緒に燻すんだ。

 寝ている間に煙を吸った男は薬草の効果で催眠状態になり、あんたの言うことなら何でも聞くぞぃ』


 一通り説明を終えると魔女は満足そうに「くくくくく」と笑っていた。


「これで~♪ 伯爵は私のもの~♪ 永遠の愛をここに~♪」


 ニファの目的はただ1つ。


 催眠をかけた伯爵に自分との婚約を確約させることだ。

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