シーナとジェイガンの戦い
ジェイガンとシーナがフィールドに立つ。観客席も空気がピリピリしておりソウルはとても居心地が悪い。
当然だ。シーナは見習いでありながらもこの国最強の騎士団にケンカを売ってしまったのだ。
「おらー!ジェイガン!そんな小娘やっちまえー!!」
マリアンヌは酷くご立腹だ。
「おー、負けんなよージェイガン!」
そんなマリアンヌとは対照的にデュノワールは面白そうに叫んでいる。
ケイラは困ったような表情で身を小さくしており、ハミエルは何も言わないが試合に目が釘付けでピリピリしているようだった。
「双方、準備はいいな?」
ジャンヌは2人に目配せをする。それを受けてジェイガンとシーナはコクリと頷く。
「はじめっ!」
そしてジャンヌが戦いの火蓋を切って落とす。
「【大地の砲撃】!」
先に動いたのはジェイガンだった。【地帝】と【球】のマナ。ゴツゴツした岩の球体がシーナに飛来する。
恐らく牽制と様子見のための一撃だろう。
「.......ふっ!」
対するシーナは大地の砲撃を蹴る。ミシミシと音を立てて岩の塊はジェイガンへと蹴り返された。
「ぬぅん!」
対するジェイガンはそれを拳で砕く。
「ま、魔法を蹴り返しやがった.......」
それを見たデュノワールは言葉を失う。
シーナが地を蹴り、まっすぐジェイガンへと突っ込もうとするが、
「【大地の抱擁】!」
再び岩の壁が現れシーナの行く手を阻む。
「.......っ!」
シーナは岩の城壁に蹴りを放つが少し表面が吹き飛ぶだけですぐに修復される。
「さぁ、どう出る?」
ジェイガンは不敵に笑う。
この城壁を砕こうと魔法を打つのか。それともレイのように壁を登るか。
壁を砕くことは不可能、上から来れば先程のレイと同じ、岩巨兵の餌食だ。
「.......上等」
するとシーナは一歩引くとマナを溜めた。
「.......我が魂に応えなさい。灼熱の炎を振るい、敵をうち滅ぼさん」
「は!?なんの冗談!?」
マリアンヌの顔が強ばる。
「え?え?なんですか?」
ケイラは相変わらずキョロキョロと他のメンバーの顔を見比べていた。
「まさか?」
シーナが使おうとしている魔法にジャンヌでさえ明らかに動揺していた。
「.......【火聖剣】のマナ。顕現しなさい!【朧村正】!!」
シーナの右手にマナが集まる。そしてそれが弾けるとそこには緋色の刃を光らせる聖剣、【朧村正】が姿を現した。
そしてシーナは朧村正の刃先を城壁に向ける。
「.......【放出】のマナ、【焔】!」
ゴッ
朧村正から熱線が放たれる。それは全てを撃ち抜く槍となって城壁に突き刺さった。
ドゴォォ!
「ぬぅっぐううううう!?」
ジェイガンは困惑する。鉄壁の防御が今まさに打ち破られんとしていた。壁の裏側にいるジェイガンにまで朧村正の熱が届く。
城壁が破壊...いや、どんどん溶解していた。修復のスピードが追いつかない。
「.......ふんっ!」
ボコォォオッ!
そしてついにシーナが放った熱線が城壁を撃ち抜いた。
「うおぉ!?」
ジェイガンは横に跳んで回避する。放たれた熱線は闘技場の壁を抉り、観客席の一部を溶解させた。
「この力.......本物の聖剣か?」
ジェイガンは起き上がりながら呟く。自慢の城壁はど真ん中から風穴をあけ、溶岩のようにドロドロに溶けていた。
「まさか、ジャンヌ様と同じ聖剣の使い手にまみえる事になるとはな」
そう言ってジェイガンは構える。
同時に、風穴からシーナが飛び込んできた。
「だが、聖剣騎士団副団長として負けられんよ!」
ジェイガンは再びマナをためる。
「【巨岩兵】!」
ジェイガンの背後に再度岩の巨人が顕現する。
「うぉぉぉお!!」
そして岩巨兵はシーナに向けて拳を放った。
「.......【重撃】のマナ」
それを見たシーナはマナをためながら朧村正を構える。
「【布都御魂剣】!」
シーナから放たれたマナが朧村正に集まると、朧村正は紅く光を放ち始める。
【草薙剣】とは違って炎を纏うと言うよりは炎を吸収して溜め込んでいるように見えた。
そして岩巨兵の拳が迫り、シーナはそれに向けて刀を振る。
「.......はぁっ!!」
ザァンッ!
岩巨兵の拳が真っ二つに裂けた。
「ぐっ!?」
片腕を失ったことで岩巨兵はバランスを崩してもう一方の腕をつく。その隙にシーナはジェイガンへと迫る。
「くっ、【プラチメイル】!」
ジェイガンは苦し紛れに魔法を放つとジェイガンの鎧が白く光り始めた。
「.......無駄」
シーナはそれをお構い無しに一閃、しようとした。
ギィィィィィィィン!!!!
空気が割れる音が響く。
「そこまでだ」
そこには黄金の両手剣でシーナの攻撃を受け止めるジャンヌがいた。
「この勝負は、シーナの勝ちだ」
「.......」
シーナは無言のまま朧村正を下げる。
「まさか、私と《《あいつ》》以外の聖剣使いがこんな身近にいるとは思わなかったな」
ジャンヌはシーナが剣を下げたことを確認しながら剣を下げる。
「だが、この力は強大だ。その使い方は考えた方がいい」
そしてジャンヌは厳しい眼差しで告げた。




