勧誘
模擬戦は中止となり、騎士団の部屋へと戻っていた。
先程の応接室でジャンヌとシーナは対面で座り、他の面々はそれを横から神妙な顔で見つめている。
「さて、シーナ」
重苦しい空気の中ジャンヌが口を開く。
「君の聖剣の存在を、誰が知っている?」
「.......この間の任務で一緒だった人」
シーナは服で口を隠しながら答える。
「具体的には?」
「.......分かんない」
「わ、分かんないってお前な!?」
横からマリアンヌが叫ぶ。
「シーナの使った魔法を聖剣と認識してる人がどれだけいるかは分からないです。それだけあの場は混沌としてましたから」
そんなマリアンヌにレイが隣から補足した。
「ふむ」
ジャンヌは考え込む。
「いや、それよりほんとに聖剣なんかよ?そんなホイホイ聖剣使いって現れるもんでもないだろ?」
「それは、直接戦った私が保証する。あの力の強さ、波動。ジャンヌ様のエクスカリバーと似たものを感じた」
デュノワールの問いにジェイガンが答える。
「まぁ、実際ジェイガンのおっさんも負けたわけだしな」
「貴様.......」
ジェイガンはデュノワールを睨むがデュノワールはこたえていない。
「ほ、本当なんですね」
ケイラはまだ信じられないと困惑しているようだ。
「しかし、聖剣使いとなると面倒なことになりますね」
「面倒なこと?」
ソウルはハミエルに尋ねる。
「この国は聖剣を神聖なものとして扱う伝統があって、ジャンヌ様も...」
「マリアンヌ」
ジャンヌはマリアンヌを目でいさめる。
「す、すいません」
「またおめぇは余計なことを」
「だって...」
マリアンヌはそう言ってシーナを見る。どういう事だろう?
「シーナ、聖剣騎士団に入るつもりは無いか?」
すると、ジャンヌは唐突にシーナに問いかけた。
「は!?」
ソウルは驚愕する。レイも驚いたように目を見開く。
ジャンヌの提案に他の聖剣騎士団の面々も驚きの表情を見せているようだ。
「この国で聖剣を持つことはきっと君が思う以上に面倒なしがらみが増えるんだ。聖剣騎士団にいれば君をそれから守ってやることができる。それにその力を必要とする人々も救うこともできるはずだ」
ジャンヌは真剣な眼でシーナを見つめる。
「.......私は」
シーナはためらうような表情を見せるとソウルの方を見た。
「.......」
ソウルは何も言えなかった。こんな重大な選択にソウルがどう口出ししてもいいのか、分からなかった。
「急な話できっとシーナも混乱していると思います。その返事はせめて今回の任務が終わった後でさせてもらうというのはどうでしょう?聖剣騎士団がどんな所かもまだよく分かっていないですし」
返答に困る2人を見かねてレイが提案してくれる。
「ふむ...それもそうだな。分かった。では任務が終わり次第、また返事を聞かてくれ」
レイの提案をジャンヌも承諾してくれた。
「それでは、また4日後の朝8時に西の城門へ集合だ。それまでに準備を整えておいてくれ」
そうして3人は聖剣騎士団の部屋を後にするのだった。




