011 過ぎ去りし夏/fill@
夏は流れる。
軽々しく「見つける」なんていったものは早々見つかるわけではない。
部屋が片付いているなら、整理されているなら探し出すのは容易だろうが、ここは世界だ。
いや、所詮世界なんて小さい。
彼女の答えが、実際に存在しているものとは限らない。
そうすれば、器は広がり彼女の心情という狭いのか広いのかすらも分からない果てしない物を相手してしまっているのかもしれない。
無惨にも時間は過ぎる。
何の手がかりも無く、ただ彼女と駄弁っては食を共にし、また駄弁っては「また明日」と待ちあう。
気がつけば、木々の葉は褐色に染まり始めている。
学業なんてやってらんねぇ、と学校も行かずに秋を迎え始めた。
「髪、切らねぇの?」
時間が過ぎると、物は風化し、人は成長する。
会った当時は肩ほどだった彼女の髪は、もう胸にまでかかり始めていた。
個人差はあるが伸びる人は早いらしい。
「クズもじゃん」
言われて詰まる。
時間は俺にだって流れている。
髪だって伸びたし、彼女の服装だって以前まで着ていた白地のワンピースはここ最近見ることは無くなり、秋物へと移行している。
「ねぇな…」
思わずだった、思ったことを口に出してしまった。
これは彼女を否定しているのとなんら変わりは無い。
しまった、と思った俺は彼女を即座に見るが
「あるわよ」
いつもとなんら変わりない様子で、彼女は言った。
これまで、いろんな所に行った。
都会のビル街、飲食街、海
乗り物を乗り継ぎ、歩き、歩く。
今、眼下に広がる樹海は…
「やっぱりこれじゃなかったわ」
「そうか…今日はもう帰るか」
また駄弁って、もと来た道を戻る。
神社という帰路に着き、また別れる。
「また明日」
本当は…知っている
fill@「お久しぶりです」
他。欠席。




